同氏の壁画は今年2月にも同様に撤去され、オークションにかけられている。ストリートアートの象徴的作品が再び失われてしまったことを、地域住民は嘆いているという。
『London Evening Standard』紙の記事によると、商店の壁から切り抜かれ、持ち去られたのは、『No Ball Games』(球技禁止)と題された壁画だ(冒頭の画像)。撤去を実行した人物についての情報はないが、現在この作品は、シンキュラ・グループによりオークションに出されている。
同記事によると、同社は、前回撤去された別のバンクシーの壁画のオークションも行った会社だ。『Slave Labour(Bounting Boy)』(奴隷労働:旗と少年)と題されたその壁画は、今年2月にロンドン市内の安売り専門店Poundlandの側壁から取り去られた後、6月に開催されたオークションで、匿名の購入者により110万ドル(約1億800万円)で落札されたと報じられている。
BBCの記事によると、シンキュラ・グループのディレクターであるトニー・バクスター氏は、今回の壁画の出品者を公表することを拒否しているという。同作品は、来春に予定されるオークションまで、数カ月をかけて修復され、売り上げの一部は慈善事業に寄付される、と同氏は述べている。
『Slave Labour(Bounting Boy)』(奴隷労働:旗と少年)が取り去られたウッドグリーン地区の住民は、壁画の売却に対して即座に抗議しており、トットナム地区の住民も同様に反応するだろうと考えられる。
バンスキーの壁画が2度続けて撤去されたことを受けて、「ストリートアートの盗難」とは何を意味するのか、そして、価値の高い壁画が誰のものであるかについて、新たな議論が生まれている。
[バンクシーは、ロンドンを中心に、世界各地に出没して活動する覆面アーティスト。自分のプロフィールを隠そうとしており、本名をはじめとして不明な点が多い。有名企業やデヴィッド・ボウイなどからのオファーも断わっている。2007年に行われたオークションでも、バンクシーの作品計6点が総額37万2000ポンド(当時の日本円で約8500万円以上)で落札されている。以下のギャラリーでは、バンクシーの作品を紹介している。
[Katherine Brooks(English 日本語版:丸山佳伸/ガリレオ]
関連記事