経済学者の高橋洋一嘉悦大学教授の「増税撤回でも国際公約違反にならない」とする、消費増税に反論する記事が話題になっている。ZAKZAKに掲載された記事で、公人による「消費増税は国際公約」「先送りすれば日本の信認が失われる」などの発言に対して、そんなことはないと指摘している内容である。
高橋教授は、G7やG20などの国際会議について、既に各国で決まった内容を『発表』する場であり、新たに約束を締結する場ではないと指摘。消費増税については、既に日本で法律もできているが、“景気回復などの環境が整えば”という部分を無視して『国際公約』扱いされることはないと批判した。
■「消費増税は公約」と発言しているのは誰か?
消費増税判断を目前に、盛んに消費増税に関する発言が報道されるようになっている。麻生太郎財務相は、「消費税引き上げは国際公約」として、先送り論を牽制している。
黒田東彦日銀総裁も、消費税率を引き上げても「経済成長が大きく損なわれることはない」との見解を強調し、甘利明経済再生担当相は、よほどの外的要因がない限り、消費税上げない選択肢はないとコメントした。
茂木敏充経済産業相も2013年7月30日の閣議後の記者会見で「消費税3%引き上げは公約」と述べている。
■消費増税慎重派は?
いっぽう、安倍首相は消費増税に慎重のようだ。「経済は生き物だ。(消費税上げが)力強く経済成長させる足かせになってはいけない。税収がのびないということなら(消費増税法の附則)18条にのっとってきめる。秋に指標を検討しながら適切な判断していきたい」との考えを示している。
他にも、安倍首相に近いとされる人たちも、消費増税慎重派が多く見られる。
浜田宏一内閣官房参与は消費増税は時期早尚との立場を取っており、税率を1%ずつ、なだらかに上げていくことも選択肢にすべきだと述べている。
静岡県立大学教授で安倍首相のブレーン的存在でもある本田悦朗内閣官房参与も、消費税増税について「1%ずつ徐々に上げていくことが現実的な方法ではないか」という考えを明らかにしている。
■海外からの見方
フィナンシャル・タイムスは、2013年7月31日の社説で、「多くの他の代替策よりも消費税引き上げが優れている」とした上で、低所得層向け所得減税などの景気後退への対応策を用意しておくのが賢明としている。
IMFのラガルド専務理事も、予定通りの増税が望ましいとの考えを示している。
また、ロイターのAndy Mukherjee氏も、消費税は上げるべきとし、商品券支給が「鎮痛剤」になるとの考え方をコラムに書いている。
■消費増税ならGDPダウンの試算も
8月2日に開催された経済財政諮問会議では、消費税増税が予定されている2014年度については、実質成長率が1.0%と大幅にダウンすると試算している。
しかし、麻生財務相は、落ち込みは覚悟しておかなくてはならないとしながらも、消費税を5%へ引き上げた1997年のように「大幅に落ち込むことはない」との見解を示している。
消費増税を決めるタイミングは秋頃とされ、安倍首相は消費税引き上げをどのように進めるかを検証するパネル(有識者会合)を設置するという。
消費税は上げるべきか。それとも景気判断をしっかり見極めてからにするべきか。
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