国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は25日、2年以上続くシリア内戦の死者が10万人を超えたと発表した。また、アサド政権と反政府側による暴力の応酬を止めるため、可能な限り早く和平会議を開くべきだと訴えた。
ケリー米国務長官との会談に先立って、ニューヨークの国連本部で記者団の取材に語ったもので、「我々はこの問題を解決へ導かなければならない」と問題に対する国際社会の積極的な関与を促した。ケリー長官は会談後、「軍事的な解決はあり得ない。内戦の当事者たちを交渉のテーブルにつかせて政治的解決を図るのみだ」と語った。
和平会議の開催について、ケリー長官は数日前にロシアのラブロフ外務大臣と会談をし、「会議実現のため最大限の努力をするつもりだ」と述べたが、アサド政権に対する姿勢で対立する両国に歩み寄りは見られず、会議実現に向けてのめどはまだ立っていない。
シリアでは死者数が増え続けると同時に100万人以上が周辺国に脱出している(5月、国連発表)。また、国内でも、400万人以上が住む家をなくすなどして難民化しているという。国連が先月発表したシリア内戦での死者数は9万3千人だったが、イギリスのNGOシリア人権監視団は6月に死者が10万人を超えたと発表していた。わずか1カ月で7千人以上の死者が出るほどシリア内戦が深刻な状況にあることが明らかになった。
ケリー米国務長官は潘基文・国連事務総長との会談の前にシリアの反体制派統一組織「シリア国民連合」の幹部とニューヨークの米国連代表部で会い、和平の見通しについて話をした模様で、今後の展開に注目が集まっている。
■「ライブブログ」で現地の情報を更新
中東のテレビ局「アルジャジーラ」はシリア内戦に関してホームページ内に「ライブブログ」を設けて、記事や映像など現地からのニュースを更新し続けている。
同局は内戦の原因を「40年にわたるアサド政権支配に対して市民は平和的な抗議活動をしたが、アサド政権は武力をもってそれを抑えようとした。それが現在の悲惨な状況につながった」と解説している。
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