TPP交渉に日本が正式参加 まずは情報収集 具体的な主張は次回以降に

日本政府は23日午後、マレーシア・コタキナバルで開かれている環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に初参加した…
時事通信社

日本政府は23日午後、マレーシア・コタキナバルで開かれている環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に正式参加した。12番目の交渉参加国に。交渉会合は25日までで、日本の方針を交渉参加国に説明する機会もある予定。

TPP協定は太平洋を囲む多国間での「ヒト、モノ、カネ」の流れをスムーズにするための経済連携協定の一つ。現在、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコの11カ国が交渉に参加している。

日本からは鶴岡公二外務審議官を首席交渉官とする交渉チームが現地入りし、「知的財産」や「原産地規制」など六つの分野別会合に合流。関税撤廃・削減で国内の農産品への影響などが懸念されている「市場アクセス」の話し合いは終了しているが、交渉内容についての情報収集や協定原案の分析を行うという。関税を守りたい品目の提示など具体的な主張は、次回以降の会合でする方針。

MSN産経ニュースは交渉の見通しを以下のように伝えている。

自民党の西川公也TPP対策委員長らは「(コメなど)重要農産品5分野の関税を守ることが最優先」と強調する。しかし、高水準の自由化を目指すTPPですべての関税維持は困難な状況だ。参院選では、「TPP反対」を打ち出し、当選した議員もおり、安倍首相が与党内の慎重派を説得できるかどうかも、日本の交渉戦略のカギを握る。

(MSN産経ニュース 「きょうTPP交渉に初参加 参院選受け、強気の姿勢示せるか」2013.7.22 21:31)

■TPPに日本が参加するメリットとは?

政府は内閣官房のTPP政府対策本部ホームページで、TPPに日本が参加するメリットについて以下のように説明している。

TPPが目指すものは、太平洋を、自由に物やサービス、投資などが行き交う海とすることであり、世界経済の約3分の1を占める大きな経済圏を生み出すことです。日本は、少子高齢化などを背景に、将来的に国内市場が縮小していくことが心配されています。日本が、今後、力強い経済成長を実現するために、TPPを通じて、アジア太平洋地域の経済成長を取り込むことはきわめて重要です。

具体的なメリットとしては、以下のようなことが考えられます。

1. 関税が撤廃され、貿易手続が簡素化されることで、衣食住にかかわる多くの商品が安く購入できるようになります。

2. 輸出相手国の貿易手続や、ビジネスマンの入国・滞在手続が迅速化・簡素化され、投資ルールが整備されることで、大企業のみならず、すぐれた技術を有する中小企業もアジア太平洋地域の広大な市場に進出することが容易になります。また、流通などのサービス産業も海外に進出し易くなります。

3. 輸出相手国の関税が撤廃され、貿易手続きが簡素化されることで、日本の優れた工業製品などを輸出しやすくなり、その結果として、国内の雇用や収入にも好影響を与えることが期待されます。また、世界的に評価の高い日本の高品質の農林水産物も海外に輸出しやすくなります。

4. 知的財産保護のルールが整備されることで、世界的に評価の高い日本のアニメ・ゲームなどのコンテンツや、長年の努力で築きあげてきたブランド・商標などを守ることができます。

■農協や漁協は猛反発

一方、TPP参加に反対している農協や漁協などでつくる、「TPPから日本の食と暮らし・いのちを守るネットワーク」が運営するホームページ「考えてみよう!TPPのこと」では、日本がTPPに参加することで食料自給率は40%から13%へ下がり、農家や食料自給率に「壊滅的な打撃」を与えるとして以下のように参加のデメリットを解説している。

TPPに参加すると関税が撤廃され、国産農産物は圧倒的に安い輸入産物と競争することとなり、多くの農家は壊滅的な打撃を受けます。また、輸入に依存すると海外市場の動向で価格が高騰したり、時には入手すら難しくなることがあるのです。世界で食料不足の不安が高まっている中、海外に食料のほとんどを依存する様な国で本当によいのでしょうか?

(「TPP参加でどうなる?暮らし 多くの農家に大打撃、自給率の激減」より)

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