ロシアで反体制派ブロガーとしてリベラル層に人気があるアレクセイ・ナバリヌイ氏(37)が18日、国営企業に不利な契約を結ばせて損害を与えたとして懲役5年(求刑懲役6年)の実刑判決を言い渡された。朝日新聞デジタルが伝えた。
反政権派や多くの有識者が判決を「プーチン政権の政敵排除」と非難しているほか、欧米諸国からも一斉に懸念の声が上がったと産経新聞は伝えている。
時事通信によると、同氏は「プーチン大統領が指示した政治裁判」だと無罪を主張。弁護士は上訴する方針を示した。ナバリヌイ氏は一連の大規模な反政権デモの火付け役。統一地方選に合わせて9月8日に前倒し実施されるモスクワ市長選に出馬表明し、今月17日に立候補が認められたばかり。有罪が確定すれば立候補は取り消されるが、同氏の陣営は自ら立候補を撤回する意向を表明し、市長選のボイコットを呼び掛けた。
朝日新聞デジタルによると、ロシア西部キーロフ州の地区裁判所が言い渡した判決によると、ナバリヌイ氏は同州知事の顧問をしていた2009年、木材会社社長と共謀。この会社と別の国営木材会社の木材売買契約をめぐり、国営会社側を説得して不当に安値で売却させ、同社側に1600万ルーブル(約4950万円)の損害を与えたとされ、巨額財産横領罪を認定した。50万ルーブル(約160万円)の罰金も科される。
■無許可の抗議活動で多数拘束、プーチン大統領の「政敵排除」の傾向一層濃く
今回の実刑判決に対して、ロシア国内でも反発の動きが広がっている。共同通信によると、実刑判決に怒った数千人が18日夕、クレムリンに近いモスクワ中心部に続々と集結し、無許可の抗議行動を展開した。一時は群衆が仕事帰りの車で混雑する車道をふさぐなど周辺が混乱、当局が多数の参加者を拘束した。参加者は当局推定で約2500人。野党幹部によると1万人。ナバリヌイ氏の名を連呼し、「自由を」と口々に訴え、練り歩いた。
プーチン大統領の政敵排除を疑われる裁判としては、石油最大手だったユコスのホドルコフスキー社長が03年に拘束され、2度の判決で獄中に留め置かれている事件が知られている。
また、ロシアの反体制女性パンクバンド「プッシー・ライオット」は、2012年3月、モスクワの救世主ハリストス大聖堂で即興の無許可演奏を行って逮捕され、禁錮2年の実刑判決が言い渡されたが、16日、新曲のビデオをYouTubeに公開している。
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