9歳のボーダーコリーであるチェイサーは、1000語を超える単語を理解する犬として有名だ(以下の動画)。
そして彼女は今回、単語だけでなく文章も理解できるようになった。しかも、「棒、取ってこい」や「ボール、蹴って」のような2語文だけでなく、前置詞句や動詞、直接目的語などを含んだ文も理解できるという。
「チェイサーは、さまざまな種類の単語についての大量の学習をもとに、文の解釈の仕方を直観的に身につけた」と、米サウスカロライナ州にあるウォフォード大学元教授であり、チェイサーの飼い主でもあるジョン・ピリー博士は、「ScienceNews」の記事で述べている。
チェイサーの能力についての最新研究を論文にしたピリー博士は、チェイサーに、名前によって物体を認識する方法だけでなく、命令文に含まれる動詞や前置詞についても教えた。同博士は「報酬と遊び」によってチェイサーの学習を強化したという。
この研究論文は、オンライン版の米心理学ジャーナル『Learning and Motivation』(学習と動機付け)に、2013年5月13日付けで発表されている。ピレー博士は論文の要旨で、チェイサーの言語理解のテストは、実験用の特別な物体だけでなく、複数の身近な物体を用いて行われたと述べている。チェイサーはさらに、目標の物体が見えない位置で命令を受けるという条件でもテストを受けた。
ピリー博士はYouTubeチャンネルでチェイサーの言語学習の様子を公開しているが、以下の動画はチェイサーがどのようにしてさまざまな品詞を含む文を理解するかを示している。
この動画では、チェイサーのおもちゃが2つ、それぞれ部屋の両側に向き合うように置かれている(ヒョウのおもちゃとインコのおもちゃで、それぞれ「レパード」と「リングネック」と名付けられていた)。「レパードへ、リングネックを運んで」と命じられたチェイサーは、その指示通りに「リングネック」を拾い上げ、「レパード」のそばに置いている。
カナダにあるブリティッシュコロンビア大学の心理学教授であり、犬の知能について研究しているスタンレー・コレン博士は、「おもちゃ、引っ張って」や「ボール、取って来て」などの単純な2語文を犬が理解するという事例は以前にも報告されている、と米ハフィントンポストに述べた。
「大まかに言って、平均的な犬の知能は人間の2歳児に相当する。そして、『スーパードッグ』はおそらく2歳半の人間に相当するだろう」とコレン博士は述べている。
コレン博士によると、「スーパードッグ」とは、犬のなかで上位20%に入る知能を持つ種を指す。ボーダーコリーは最も知能が高いとされ、その次にプードル、ジャーマンシェパードが続く。
どんな種であれ、犬を教育するには、言葉をシンプルにし、常に一貫性を持たせて繰り返すことが重要だとコレン博士は述べた。
[Jacqueline Howard(English) 日本語版:丸山佳伸/ガリレオ]
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