ハフィントンポストのブロガーの大石裕一氏が書いた「ブラック企業のブラックたる原因は経営者にのみあるのか」という記事が議論を呼んでいる。
ブラック企業とは、従業員に過酷な労働を強いる企業のこと。利益ばかりを考えて労働者のことを考えない経営者側の問題としてクローズアップされることが多いが、大石氏は経営陣だけの問題ではないとして、次のように問題提起した。
最近、ブラック企業問題の原因は企業や経営者以外にもあるのではないかと思うようになりました。実は我々顧客の側が、「経営者が従業員の労働力を搾取して死に追い込む程の事をしなければ採算が取れない」ほどのサービス・商品を求めてしまっている事に「も」原因があるのではないかと。
これに対して、2日間で30件を超えるコメントが集まった。大石氏に同意して「消費者の責任も大きい」とする意見のほか、無茶な命令に従ってしまう「従業員の問題」とする意見も出た。しかし、中でも目立ったのは「それでも経営者に全責任がある」という意見だった。
以下、コメントを一部抜粋する形でざっくりと分類してみた。
■「消費者の責任も大きい」とする意見
近所にあるファミレス。そこそこ安く、そこそこ食べられ、そこそこのサービスを受けられる。……そうでしょうか? あの価格から原材料にかかる費用、そして従業員に支払われる金額を考えてみましょう。更には原材料費から、それぞれの素材を提供する農家などにどれだけ支払われるかを考えてみると、冷静に考えれば「異常に安く、異常に高いサービス」なのではないか。
(SYODA-Tuyano
現代はあまりに消費者が強くなりすぎましたね。「適正価格」という言葉を今一度思い出す必要があると思います。
(babyblue08062013年07月07日14時38分)
■「従業員の問題」とする意見
従業員に対して企業側から心配り的なことは一切ないが、従業員にはとにかくお客様に尽くせ的な感じで強いられる。そういう心理的、精神的な追い込まれ方をするのがブラックの特徴。まじめな日本人はそんなマネジメントでもついていく人が結構いる。それがこのブラック企業問題の根底。
(Takashi Ichihara2013年7月09日08時38分)
「安さのみが基準となる」というより、日本は際限なく細かいところの完成度を要求する社会です。大枠のところを気にすることはあまりありません。この「細かいところ」というのが、つまり働く側にも「ここのに響く」(過剰の客の心理がわかる、というより「空気を読みすぎる」)ためますます過敏になり、すなわち神経をすり減らすのです。
(Zetton 2013年07月08日 09時13分)
従業員としても労働組合を作るとか、ソーシャルサービスなどを利用して実態をプロパガンダし、社会的な理解を得るなどの自己防衛をとることが重要ではないのか。
(mky4232013年07月07日21時48分 )
■「それでも経営者に全責任」とする意見
企業の経営陣にすべての責任があるのは明白です。きちんとした経営方針を持っている企業ではなく単なる短期的な利益追求企業にしてしまったのはほかならぬ経営陣だからです。
(taiwa 2013年7月09日07時45分)
従業員に極めて高い肉体的負荷と感情的負荷をかける過剰サービスや、限界以上のコストダウンの追求は、顧客が求めた結果ではなく、経営者の経営方針・経営理念によるものだ思う、ということです。
(yamagoo2013年07月08日08時14分)
経営者のみに、といわれれば、やはりその責任は経営者にまず第一義的にあり、その次にその企業体質に染まった幹部社員・・というところであるのは変わらないでしょう。あえて言えば、過剰サービスでお客に”自分は神様だ”と誤解させたのだとすれば、それも企業体質にあたると考えられるかもしれません。
(Babel2nd2013年07月07日16時39分)
ブラック企業の問題は、価格やサービスの質の側にあるのではなく、過酷な労働環境や異常な低賃金や(サービス残業という名の)無賃労働といった、労働環境の劣悪さ(多くは違法ですらある)の側にあるはずです。社員に過剰なサービスを要求しているのは顧客ではなく企業です。(OrangeGreen2013年7月09日23時13分)
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このほか特筆すべきコメントとしては「新興企業は既得権など皆無の中で勝ち抜いていかなければいけないのですから、ムチャをしがち」という分析や、「短期就労を前提にすれば、ブラックな方針も活用できるのでは」とブラック企業をある一面からではあるが評価する意見もあった。
【※】ブラック企業が生まれる原因として、経営者、従業員、消費者の3つの立場の責任が上がっていますが、読者の皆様はこのうちどの立場の責任が最も大きいと考えますか?コメント欄にご意見をお寄せください。
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