鳩山由紀夫元首相は、25日に香港のフェニックステレビで放送されたインタビューのなかで、沖縄県の尖閣諸島について、「中国側から見れば(日本が)盗んだと思われても仕方がない。返すべきだと。カイロ宣言の中に、尖閣が入るだろうということは、そういう解釈は、中国側からは十分に成り立つ話だと。」と述べ、同諸島は「係争地である」との認識を示した。
カイロ宣言は、1943年に中華民国の蔣介石と、アメリカのルーズベルト大統領、イギリスのチャーチル首相が、日本の戦後処理をめぐって行った会談で出されたものだ。これを元に、戦後、サンフランシスコ平和条約が結ばれているが、その際、尖閣諸島は沖縄(琉球)の一部とされている。
筑波大学名誉教授で東京福祉大学国際交流センター長の遠藤誉氏の調査によると、「アメリカのルーズベルト大統領が中華民国国民政府の蒋介石主席に『日本を敗戦に追いやった後、琉球群島をすべて中華民国(中国)にあげようと思うが、どう思うか』と何度も聞いたのに、蒋介石が断った」というカイロ密談に関する記録が見つかっているとのこと。
また、中国共産党系のWEBメディア「中国共産党新聞網」などでも、このカイロ密談のあと、蒋介石はルーズベルトのオファーを断ったことをひどく後悔をしたしたということを報じていたとのことだ。
鳩山元首相の発言を受けて、菅義偉官房長官は午後の記者会見で下記のように話した。
「その発言を聞いて、私は絶句しました。開いた口が塞がらないという言葉がありますが、まさにこのようなことだろうと思います。
政府としては断じて許しがたいことだと、強く強調しておきたいと思います。
鳩山(元)総理については、これまでも無責任な発言によって、政治の混乱を招いてきた人でありますけれども、改めて、我が国の総理大臣を務めた人が、このように、我が国、領土の主権を揺るがせるような発言をすることは、国益を著しく損ねるものであって、断じて許すことはできない。国民のみなさんの思いもきっとそうだろうと思います。」
菅官房長官が、「断じて許すことができない」と述べたことに対し、鳩山氏に対して接触を行い何か抗議等を行うのかという記者団からの質問に対しては、「接触するつもりは全くありません。」と回答した。
中国のテレビ局が鳩山氏の発言を報道することに対してどのように考えるかとの質問には、「世論をうまく形成するためではないか。」との見解を述べた。
鳩山氏は26日から中国・北京を訪問することになっており、講演の機会もあるという。このことに対して、菅官房長官は、「今は国会議員でもない全くの私人であるが、元総理経験者としてふさわしい発言をして欲しい。」と述べた。
また、民主党の海江田万里党首は下記のように述べている。
「鳩山さんの主張は我が党の主張とも違います。歴史的に見て固有の日本の領土だろうということは、私は明確に思っています。」
これらを受けて、25日夜、鳩山氏は東京の自宅前で、記者団に対し次のように持論を展開した。
「中国側がそういう判断をするというふうな可能性はあるということを申し上げた。ポツダム宣言に書いてあるでしょう、固有の領土は。北海道、本州、四国、九州、それが固有の領土だと。日本は戦争に負けて、それが固有の領土になったんですよ。この4島が固有の領土なんですよ。その後は、連合国軍が決める島なんですよ。残念ながら。」
「官房長官は、開いた口が塞がらないとのことでしたが」、との記者の質問に対して、鳩山氏は「もっと勉強していただきたいということです。」と述べた。
鳩山氏の発言について、インターネットでも怒りの声が上がっているが、中には賛成する声もある。
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