「世界の女性の3分の1」が暴力の被害者:WHO

世界中でおよそ3人に1人の女性が、生涯のうちに少なくとも一度は性的または肉体的な暴力を受けた経験を持つことが、世界保健機関(WHO)が6月20日に発表した調査報告(PDF)によって明らかになった。

世界中でおよそ3人に1人の女性が、生涯のうちに少なくとも一度は性的または肉体的な暴力を受けた経験を持つことが、世界保健機関(WHO)が6月20日に発表した調査報告(PDF)によって明らかになった。

WHOがロンドン大学衛生熱帯医学大学院および南アフリカ医学研究協議会と共同で実施したこの調査によれば、世界の女性の35%が性的または肉体的暴力の被害者だという。そして、こうした暴力の中でも、配偶者を含む性的パートナーによる暴力が圧倒的に多い。実際、世界中の30%もの女性がドメスティック・バイオレンスの被害者であるという。

この調査によれば、殺害されたすべての女性のうち38%が、性的パートナーによって殺された。また、ドメスティック・バイオレンス被害者の40%以上が、その暴力によって負傷している。

米国の公共ラジオ局NPRは、81ヵ国のデータを調査したこのWHO報告書について、「世界中のドメスティック・バイオレンスに関して初めて包括的な視点を提供」するものだと報じている

性的パートナーから暴力を振るわれた経験のある女性は、うつ病やアルコール依存症になったり、望まない妊娠や中絶をしたり、HIVなどの性感染症にかかったりする傾向が強いことも調査結果は示している。

「女性に対する暴力は、世界中に蔓延する健康上の問題であるという強力なメッセージを、この調査結果は伝えている」と、WHOの事務局長を務めるマーガレット・チャン博士は声明の中で述べている。

「この問題は、非常に多くの女性にとって日常的な現実だ」と、調査報告書を書いたひとりであるロンドン大学衛生熱帯医学大学院のシャーロット・ワッツ氏は述べている。「貧困家庭だけの問題というわけでもないし、ある特定の国だけの問題というわけでもない。グローバルな問題なのだ」

調査報告書の執筆者らによれば、解決の最初のステップは、この問題についての意識をたかめ、暴力の犠牲者に必要なケアを提供するために必要な知識とツールを、健康管理の専門家に提供することだという。

「(レイプや虐待に対しては、)特効薬も、ワクチンも、錠剤もない」と、WHOの医師でこの調査報告書の共同執筆者でもあるクラウディア・ガルシア・モレノ氏はNPRの取材に対して語っている。「だが、われわれが女性たちから耳にしたことは、多くの場合、親身になって話を聞き、実際的な手助けをしてくれたり、他のサービスを利用できるよう支援してくれたりする人がいるだけで、それ自体が重要な介入になるということだ」

[報告によると、15歳以上の女性のうち、パートナーおよび非パートナーから暴力を受けた者の率が最も高いのはアフリカで45.6%。続いてインドやインドネシア等の南アジア地域40.2%。米国および中南米は36.1%、中東(非パートナーからの暴力についての統計は不明)が36.4%。日本が含まれる「西太平洋地域」は27.9%、「高所得諸国」は32.7%]

[Dominique Mosbergen(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ)

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