イタリアのベルルスコーニ元首相(76)が未成年買春と職権乱用の罪に問われた裁判で、ミラノ地裁は24日、求刑の禁錮6年を上回る禁錮7年の有罪判決を言い渡した。同時に終身の公職禁止も言い渡した。朝日新聞は次のように伝えている。
検察側は、元首相が2010年、ミラノ郊外の元首相の自宅や別荘で当時17歳のモロッコ人少女を買春し、450万ユーロ(約5億7600万円)を支払ったと主張。求刑時には「元首相を喜ばせるための組織的買春の一環だった」と説明していた。
また元首相は、少女が窃盗容疑で逮捕された際に、警察幹部に電話で「エジプトのムバラク大統領の親戚なので、早く釈放するように」と働きかけたともされている。
(朝日新聞デジタル 2013/06/25/0:55)
1936年生まれのベルルスコーニは歌手や掃除機の販売業を経て、建設会社「エディルノード」を設立し、ミラノ近郊の住宅地開発事業で成功した。
78年、後にイタリア最大のメディア企業帝国「メディアセット」へと成長する地方ケーブルテレビ局「テレミラノ」、及び持ち株会社「フィニンベスト」を設立する。フィニンベストはベルルスコーニが個人資産として保有しており、「メディアセット」の他、イタリア最大手の出版社「モンダドーリ」や日刊紙「イル・ジョルナーレ」などを傘下に置く。ベルルスコーニがイタリアのメディア王と呼ばれるゆえんで、現在は国内のほとんどの民放局を独占している。86年には、セリエA所属のプロサッカークラブ「ACミラン」を取得した。(コトバンク「知恵蔵2013」より)
94年、右派政党「フォルツァ・イタリア」を創立して政界に進出。これまで1994-95年(第74代)、2001-06年(第79代)、08-11年(第81代)と、3度にわたってイタリア首相に就任した。
しかしベルルスコーニの周辺では賄賂、脱税、不正経理、マフィアとの癒着といったスキャンダルが絶えない。過去20年以上にわたって100件以上の裁判で2500回も法廷に立っているが、首相の在職中は刑事訴追の対象外とする免責法を08年に制定し、あらゆる刑事訴追から免れようとした。しかし11年11月、ギリシャ金融危機の影響でイタリアが金融不安に陥った責任を問われ、国家財政緊縮法案のイタリア議会下院可決後に首相を辞任した。
ベルルスコーニ元首相は、「メディアセット」が米映画をテレビ放映する権利の購入費用を虚偽申告することで730万ユーロ(約9億5千万円)の税金を免れたとされる巨額税金詐欺事件の裁判も抱えている。5月8日の控訴審で、禁錮4年と公職禁止5年の一審判決を支持する判決が出ている。
今回の判決では、元首相が今後、公職に就くことも禁じた。ベルルスコーニ氏側は控訴する意向で、判決確定まで同氏が収監されることはない。元首相も、買春相手とされる当時17歳の女性も起訴内容を否定していると産経新聞は伝えている。
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