伊藤元重東大教授が、社会保障制度改革国民会議で提案した「死亡消費税」についての記事を掲載したところ、多様なコメントがたくさん寄せられています。
死亡消費税とは、伊藤元重教授の説明によると、物を買ったら消費税として税金を払うが、物を買わずにお金を溜め込んで亡くなられた方に対して、亡くなられた後に、一部お金を還元していただこうというもの。伊藤教授がこの案を出した理由の一つに、「新しい財源の確保」が挙げられていましたが、「税収」をビジネスの発展を絡めて考えられないか?という発想によるコメントが、多く出てきています。
まずは、ビジネス面から見た死亡消費税のパフォーマンスに関しての指摘コメントを紹介しましょう。あるコメントでは、「新しい税制を作るとコストがかかる」と指摘。「死亡消費税でいくら税収が増えるか」を計算し、将来、死亡消費税も上げる必要が出てくるのではないかという考えを書かれています。
“個人的な意見ですが、そもそも私は新しい税金の導入ということ自体に反対です。
新しい税を導入することは収入の増大につながるだけでなく、同時に管理コストの増大につながるので、そちらの経費が今の官僚システムでは馬鹿にならないと思いうからです。
仮にこの死亡消費税を導入した場合のざっくりとした計算をして見ます。
厚生労働省によると、平成23年度の75歳以上の死亡者は87万人でした。
死亡消費税が1万円だと87億円、100万円だと8700億円の税収になります。
年間一兆円ずつ社会保障費は増えていくとのことですので、100万円の死亡消費税では間に合わず、徴税・管理コストも含めると150万円程度徴収しないと、社会保障費の増大に対応できないので、今後この死亡消費税は導入され次第、徐々にその負担額を上げていくことになることが予想されるような気がします。
計算方法にはいろいろあるでしょうが、確かに、システムの開発費用も考慮に入れなくてはいけないですね。
また、死亡消費税を『消費しないで貯め込んだ罰則税』という意味合いだと考え、罰にならないよう、高齢者にはお金を貯めこまないで消費を行っていただき、消費税をたくさん払ってもらえば良いのではないかという意見も見られます。どうしたら高齢者に消費を行なってもらえるかについて、さまざまなアイディアが上がっています。
現在の高齢者は医療費の自己負担を増額していただいて、加えて相続税も軽減する。そうすれば税金対策で資産防衛に走らず、相続人は存分に消費する。これは成り立たないでしょうか。
この意見でまず最初に挙げられている医療費の自己負担割合を増やすという点ですが、先に紹介したryugomさんは、医療費の自己負担割合を増やすことでどれぐらい税収が増えるのかを計算し、死亡消費税より税収が大きいと書いています。しかし、自己負担が増えることによって、病院を利用する人が減り、医療産業のメリットが減ることも指摘されています。
自分の財布は痛くなりますが、この記事で目に付けたのは医療費でした。
医療費35.1兆円を何とかして減らせないかと。
簡単な計算ですが、現在ほぼすべての国民は医療費を3割自己負担し、政府が7割負担しています。この負担を4割にしてみたらどうかと思いました。若者はあまり病院に行かないので、よいかなとも思いました。
これまた乱暴な計算ですが、35.1兆円の負担で7割を6割にしますから、35.1X6÷7で約30兆円。
35.1兆ー30兆で5.1兆円の政府支出減につながるのではないか、と思いました。
医師会等の反対もあるかとは思いますが、こっちのほうがより大きなお金を生み出すのではないかと思いますがいかがでしょうか。
消費者にとっては医療費が上がるので、病院にあまりいかなくなり、結果ベッドの不足や病院のたらいまわしなども抑制されるような気もします。
相続税については、新しい相続税の計算方法について指摘し、既に、相続税が若い世代の負担につながっているという点を指摘する声も出ています。
ご存じのように、相続税の計算式が新しくなります。
相続財産総額 - (基礎控除3000万円 + (法定相続人頭数 × 600万円)) = 課税対象
相続税の新しい計算は、この式です。
相続税計算式が新しく変わることによって、都市部に持ち家を持っている方は、ほとんどが課税対象になります。相続税の計算式を変え、ハードルを下げたことにより、ミドル層までが課税対象になり、すでに実質的な大増税が決まっているわけです。
ですので、この状況で”死亡消費税”などというものを設けるということはつまり、富の再分配というより、現役世代への大圧迫になるのではないかと思います。また、全ての高齢者が蓄えがあるというわけでもありませんので、死亡後の消費税課税は、とりっぱぐれが生じる上に、不平等観もが生じる混乱を生みだすだけになるかもしれません。
これまでは対象ではなかった人まで、相続税で苦しむ状態になりそうという懸念から、相続税を下げて貰いたいという要望は多いと考えられます。
いっぽう、高齢者のかたにもっと消費をしてもらおうという考え方については、そもそも買いたいものがないのではないかという声も上がりました。
でも、消費しろと言われても、魅力的な商品ってありますか? 欲望も飽和状態なんです。
これには、日本の旅行産業を良くすることが消費に繋がるのではないかとの意見が出ました。
高齢者にとって、最も魅力的は消費といえば旅行じゃないでしょうか。
国内旅行産業は、高齢者向けに魅力的なツアーや旅行プランを提供できていないため、国外に需要を持っていかれているというのが現状と思います。
温泉宿だと1週間とか泊まるの厳しいですからね。
議論が死亡消費税が旅行産業の話にまで発展しています。
しかし、高齢者の方が消費をしないのは、介護などが心配だからという、高齢者の不安を指摘される方もいました。
なぜ老人がお金を消費せずに溜め込むのかというと,いざというときは高額な医療費がかかるかもしれない,介護にかかるかもしれない,という心配からだと思います
では、介護にお金が使われるという点を、ビジネス的な視点から、税収につなげられないのか。そんな意見も出てきています。
・高齢者関連の介護施設等の事業は国の特区にしてでも、雇用創出等の社会的な効果を生み出すようにする(当然介護報酬の大幅な引き上げは必須)
等の効果が出易い対策はもっと沢山あると思います。
介護事業を利益目的でやるのは間違っているという人もいますが、それは今の高齢化社会ではナンセンスな意見だと思います。
高齢者の面倒を見るサービス業で若い人口が収入を得て、税金を納めて社会を健全化していくと考えていくべきでしょう。
そして若い人が介護に就くわけがないと言うのもナンセンスですね。
何故介護職を選ばないのか?その答えは只一つ
「介護職についても正当な評価をされずに低収入のため、食っていくことができないから」
でしょう。
介護福祉士でなくとも、食べていけるだけの収入が得られるのであれば、いくらでも良い人材は確保できるでしょうし、ポジティブな雇用創出ができるはずです。
もう少し社会保障問題を経済や政策とポジティブに絡めて考えることは出来ないのでしょうか?
ryugomさんが指摘していた、医療費自己負担の割合増によって病院の利用者が減るという点は、病院経営と介護ビジネスの連携が発展すれば、理解が広がる可能性も考えられます。
旅行産業、介護ビジネスの他にも、いろいろな案が浮かびそうというような思わぬ展開となった「死亡保障税」議論。あなたもぜひ面白いアイディアをコメントしてください。
関連記事