乳がん検診で、マンモグラフィー(乳房X線撮影)だけを行い、乳房を見て触る視触診を省くと、がんを見落とす心配があることが東北大の研究でわかった。
乳がん検診の視触診とはどういったことを行うのか。公益財団法人日本対がん協会によると、次の通りである。
医師が目で乳房を観察してくぼみがないか、手で触れてしこりがないか、リンパ節が腫れていないか、乳頭から分泌物がないかなどを観察します。触診で発見できるものは、ある程度の大きさになったしこりです。しこりがすべて乳がんというわけではありませんが、視触診だけに頼っていると、しこりが乳がんであった場合、ある程度の大きさにならないと発見できない可能性があります。検診としての目的を達成できません。(日本対がん協会「乳がんの検診について」)
乳がん検診には、視触診、マンモグラフィー検査、超音波検査などがある。視触診は、見て触ってしこりを見つけることでがんを発見できるメリットがあるが、最近は視触診が行われない傾向が強いという。その理由について、朝日新聞は次のように報じている。
国は指針で原則、併用検診を勧めているが、医師不足などを理由に視触診を廃止する市町村が相次いでいる。研究チームは「やむを得ず、視触診を廃止や縮小するなら、年代を考慮すべきだ」と訴えている。(朝日新聞 2013/06/21 05:01)
なぜ視触診が必要なのか。検診の対象で比較的若い40代は乳腺の密度が高く、X線画像が真っ白にうつるため、画像だけでの判定が難しいからだ。視触診、マンモグラフィー、超音波などの検診を組み合わせることが、それぞれのデメリットを補うことになりそうだ。
5月には、女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝性のがんを予防するために両乳房の切除手術を行ったことを明らかにした。乳がんを予防、早期発見するための議論や取り組みが今後も増えていくことが期待される。
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