高市早苗自民党政調会長「原発事故によって死者出ていない」に収まらぬ批判【党幹部の動き】

自民党の高市早苗政調会長が、「原発事故によって死者が出ている状況ではない」と発言したことに対し、与野党や被災地から怒りの声が噴出している。高市氏自身は発言の翌日、記者団に対して「被曝(ひばく)が直接の原因で亡くなった方はいないが、安全基準は最高レベルを保たなければいけないと伝えたかった」と釈明したが、被災地の怒りは収まりそうにない…

自民党の高市早苗政調会長が、「原発事故によって死者が出ている状況ではない」と発言したことに対し、与野党や被災地から怒りの声が噴出している。高市氏自身は発言の翌日、記者団に対して「被曝(ひばく)が直接の原因で亡くなった方はいないが、安全基準は最高レベルを保たなければいけないと伝えたかった」と釈明したが、被災地の怒りは収まりそうにない。

批判のもととなった発言は17日、神戸市の自民党兵庫県連での講演で、原発再稼働という党の方針を強調する中で述べられたものだ。朝日新聞デジタルによると、次のようなものだった。

「原子力発電所は確かに廃炉まで考えると莫大(ばくだい)なお金がかかる。稼働している間のコストは比較的安い。これまで事故は起きたが、東日本大震災で止まってしまった悲惨な爆発事故を起こした福島原発を含めて、それによって死亡者が出ている状況にもない。そうすると、やはり最大限の安全性を確保しながら活用するしかないだろうというのが現況だ」

朝日新聞デジタル「高市発言「原発事故によって死者出ていない」 怒る福島、声を震わせ「許せない」」より。)

高市氏は、翌日の記者団への説明の中で「被曝が直接の原因で亡くなった方はいない」と釈明した。だが、「直接の原因」をどう解釈するか。たとえば、朝日新聞デジタルは、福島県では18日現在、事故による避難などにともなう関連死者が1415人にのぼると報じている。東京電力福島第一原発に近い双葉病院では、原発事故後に入院患者が取り残され、2011年3月中に40人の患者が亡くなっている。遺族の一部が今月、東電に損害賠償を求めて提訴したばかりだ。

高市氏の発言に対しては、同じ自民党の福島県連からも抗議の声が起こっている。県連は19日にも党本部に抗議を伝えるといい、平井孝朗幹事長は朝日新聞の取材に対し、「たいへん遺憾な発言だ」とコメント。野党各党からも高市氏の資質を問う声が続々とあがった。

永田町の外でも、非難する声が相次いでいる。

原発再稼働は、自民党の参院選公約の最終案に「地元自治体の理解を得られるよう最大限の努力をする」と推進の方針が盛り込まれている。安倍晋三首相は30日に三度目の福島県視察を行う予定だが、高市氏の発言が参院選に影響を及ぼすのは必至だ。

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