政府は18日午前の閣議で、2013年度の「子ども・若者白書」を決定した。15~34歳の若者で、仕事に就かず、学校にも行っていない「ニート」が2012年は63万人に達し、同年代の人口に占める割合は2.3%で、統計を取り始めた1995年以降最も多かった。フリーターは180万人。15~24歳では前年から減少しているものの、25~34歳の年長フリーター層(103万人)は2009年以降増加が続く。若者の雇用をとりまく情勢は依然厳しく、各政党も参院選で若者の雇用対策を掲げる。
15~34歳の若者を対象に2012年の雇用状況を調べたところ、「ニート」がこの年代の人口に占める割合は緩やかに上昇しており、前年度より0.1ポイント増の2.3%だった。年齢別にみると、15~19歳が9万人、20~24歳が17万人、25~29歳が18万人、30~34歳が18万人。年齢が進むにつれ、多くなっている。
若者の失業率は全体の雇用環境の改善を反映して減少傾向にあるものの、雇用者に占める非正規雇用者の割合は25~34歳で26.1%と、2011年に続き過去最多だったと時事通信が報じている。
同白書によると、ニートの若者のうち、就業を希望しているにも関わらず、求職活動をしていない理由は、「その他」を除くと15~19歳では「学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている」と「病気・けがのため」が多く、20~24歳と25~29歳ではそれらに加え「知識・能力に自信がない」が多い。
時事通信によると、内閣府は「社会での能力発揮を支援する対策が必要」と分析しているというが、具体的な処方箋はあるのだろうか。
安倍首相は5月7日の参院予算委員会でニートや引きこもりの若者に対し、「『頑張って自分の足で立っていこう』と思ってほしい。どうか自分の力でその可能性をつかみ取ってほしい」と訴えた、産経ニュースが伝えている。
首相は「求人と雇用を増やすことこそ政治の仕事だ」と述べると同時に、「(高校卒業の)18歳、(大学卒業の)22歳の時に機会を失っても何度でも就職する機会を作ることが重要だ」と強調し、再チャレンジできる社会づくりに意欲を示した。自民党の有村治子氏への答弁。(産経ニュース 2013.5.7 20:02)
6月14日に安倍政権が発表した「日本再興戦略」では、「世界に勝てる若者を育てることが重要」として、「若者の活躍推進」を打ち出し、
・2015年度卒業予定者から、就職活動の解禁時期を「3年生の12月」から「3年生の3月に後ろ倒し
・インターンシップや地元企業の研究、マッチングの機会の拡充などで、キャリア教育から就職まで一貫して支援する体制の強化
・いわゆる「ブラック企業」対応の強化
・起業促進
などを掲げている。
各政党は若者の雇用政策にどう取り組もうとしているのか。内容を抜粋して紹介する。
●民主党「2013年参院選マニフェスト掲載政策草稿案」
・若者の雇用促進のため、学校での職業教育やカウンセラーによる進路指導のほか、ハローワークでの就労支援を強化。
・ブラック企業対策として、求人票に離職率を明記。
●みんなの党「アジェンダ2013(インデックス版)」
・中小企業を中心に「お試し採用」を可能とする既卒者支援助成制度を大幅に拡充する。
・過度な雇用保護法制を見直し。具体的には、正社員の整理解雇に関する「4要件」を見直し、解雇の際の救済手段として金銭解決を含めたルールを法律で明確化する。
・最低賃金のアップ、残業割増賃金率をほかの先進国並みに引き上げてサービス残業の取締りを強化
●公明党「2013参院選重点施策」
・非正規労働者の正規雇用への転換、人材育成、処遇改善などに取り組む事業者へ助成金(キャリアアップ助成金)
・ブラック企業対策(違法の疑いがある企業へ立入調査、重大・悪質な場合の企業名の公表、などを検討)
・地域の中小企業による合同の新人研修や相互出向など、地域経済を支える人材を共同
で育成する仕組み(地域人材育成コンソーシアム(仮称))の構築を支援
●日本維新の会「維新八策」
・解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)
・同一労働、同一賃金を実現するなど、正規雇用と非正規雇用の格差是正
・新卒一括採用と中途採用の区分の撤廃を奨励
●共産党「2013年参議院選挙各分野政策」
・「新卒者雇用確保・促進法」を制定し、採用計画の策定や内定取消の防止など企業の社会的責任を明確にする。
・労働者派遣法を抜本的に改正し、派遣労働者保護法を制定。
・賃上げ、サービス残業の根絶
●社民党「2013参議院選挙公約(素案)」
・職業相談、職業教育、住居に関する制度を充実。労働法教育の実施。
・企業の採用サイトに、離職率や平均勤続年数の表示を義務付け。ブラック企業対策として、企業名の公表、労働基準監督署の監督体制を強化。
・最低賃金を段階的に1000円以上へ引き上げ。
ネット上では、ニートの若者が63万人にのぼり、過去最多となったニュースについて、様々な意見が出ている。
ニートの社会復帰を支援する事業なんて言ってるけど、そんなので減る程簡単なことじゃないと、元ニートは思います。代替案は浮かばないんですけれども。うーん。
— 高木 美穂 (@mipogacha) June 18, 2013
若者の雇用を促進させるためには、どのような対策が必要か、皆さまのご意見お聞かせください。