地球上の3人に2人は、まだ快適なインターネットを利用できない状態である。山岳地帯や、群島、ジャングルなどにインターネット回線を引くには、多大なコストがかかる。
しかし、もし、空にインターネット回線が引かれていたらどうだろう?
Google がブログで紹介している「Projcet Loon」は、風船によるインターネット回線を作るプロジェクトだ。飛行機が飛ぶ高さの2倍高い成層圏まで風船を飛ばし、そこにインターネットの基地局を浮かべることで、空中でインターネット回線を作ってしまおうというもの。
成層圏まで風に吹かれて飛ばされた風船は、流れている風にのって東に西に移動する。風船にはインターネットの基地局のような機器とソーラーパネルが積まれており、太陽光発電によって得られた電力で、地球とインターネット接続をまた、風船同士での通信を行うことで、インターネット回線を作る。インターネットの速度は、現在の3G回線程度になるという。
Tech Crunchは、このプロジェクトの命名の理由と、どのように風船がコントロールされるかを紹介している。
突拍子もないアイデアであることはGoogleも承知しているので、このプロジェクトは”Project Loon”〔仮訳: おばかプロジェクト〕と名付けられた。それでもGoogleは、このプロジェクトを通じて、気球を風に乗せて航行させる方法と、高さを変えることによって風を選び、それによって操縦する方法を見つけた、と考えている。一つの気球が飛んでいっても上空に必ずもう一つの気球があるためには、Googleは地球の上空全体を気球で覆わなければならない。Googleによれば同社はこの問題を“複雑なアルゴリズムと大量のコンピューティングパワーを駆使して解いた”、という。Googleは風に関するNational Oceanic and Atmospheric Administration(NOAA)のデータを利用して、気球の航路を予測する。
(Tech Crunch「地球の全上空を気球群で覆いインターネットアクセス格差をゼロにするGoogle Xの“おばかプロジェクト”」より。 2013/6/15)
これならば、山もジャングルも関係ない。打ち上げにかかるコストも少なくて済む。また、回線を引くことによる環境破壊も起こらない。なんとも心の踊るプロジェクトではないか!
実は、このアイディアに似た研究が、日本でも1990年後半に行われていた。
風船の代わりに、飛行船を使うというものだった!
GoogleのProject Loonは現在はまだ実験段階で、協力者を募集しているとのこと。
世界中のどこからでもインターネットが使えるよう、成功を祈りたい。