復興庁幹部職員の水野靖久参事官が、Twitter上で「左翼のクソども」などと市民団体への中傷を行なっていたことが議論を呼んでいる。
水野氏は、昨年8月、船橋市副市長から復興庁の「原発事故子ども・被災者支援法」担当していたが、個人のツイッターアカウントにおいて、職務に関する感想などをツイートしていた。このツイートの中には復興庁の職員として不適切であるものが多く含まれていたが、新聞の一面に取り上げられる直前になるまで、上司らは認識していなかった。
「原発事故子ども・被災者支援法」は2012年6月21日に成立した。政府がこれまで指示している避難区域よりも広い地域を「支援対象地域」として指定し、その地域で生活する人や、避難した人、また、避難していたが元の地域に帰還する人などを対象に、国が、特に子ども(胎児含む)の健康上の影響を未然防止し、健康診断および医療費減免などの支援を行うことを決めたもの。ただし、法律は成立したものの、具体的な政策が実施されるのは法律が決まった後に行われるとされ、その政策の基本方針を取りまとめることが、水野氏の役割であった。しかし、法律が作られたが、1年をたった今でも、基本方針は決まっていないという状態である。
そのような状態にもかかわらず、水野氏は、「きょうは懸案が1つ解決。正確に言うと、白黒つけずにあいまいなままにしておくことに、関係者が同意しただけなんだけど、こんな解決策もあるということ」等の、課題の先送りと思えるツイートも行なっていたため、被災地のかたや、関係者の怒りが爆発した。
ハフポスト日本語版では、この復興庁ツイッター事件について、水野氏の過去のツイッターや、官僚のかたのツイートを中心に記事としてまとめたが、この記事に対してたくさんの意見が寄せられている。
意見のなかでも目立つのは、「公務員としてあるまじき行為である」というものである。公務員のあり方や、憲法の規定などから、水野氏のツイートを問題としている。
■「公務員としてあるまじき行為」
国家公務員法82条3項に
「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」
とありますが、懲戒の根拠はここでしょう
菊池氏の「官僚だから駄目なのか?」という問い
官僚だから駄目なんです
「ふさわしくない非行」→判断基準はお任せします
「国民全体の奉仕者たるに」←問題となるのはここ?(憲法第15条)
例えば、学校の教師が受け持ちの生徒に対して「クソ」だの「頭がアレ」などと呟いたらどうなるか?
先生も人間だから…と許されてしまうのだろうか?
もし許されるのであれば、この官僚も許されるべきだろうな。
私は日本社会がそこまでノーモラルだとは思いませんが。
taga-kyoさん
綸言汗の如し。
高い地位に相応しくない、平凡な人物だったということ。
彼を批難する人は、まず自らの身を振り返る必要があるだろう。
凡人なら誰でも彼と同じ感情を持ち、同じ行動したのではないか。
高い地位は、凡人には到底勤まらないということを全国民が理解すべきだろう。
水野氏が、公務員という中立の立場であるにもかかわらず、市民に対して暴言を吐いてしまったことについては、官僚のシステムの問題と捉える意見が出ている。
■公務員の「驕り」
結局エリートコースから復興庁っていう権力も無いクレーム処理的な部署に回されて、
ほどんどヤル気もなく仕事していたって事だけでしょう。
Twitterを本名で始めて、相当経験を積んだ上での、”左翼の糞”発言。
Twitterが公開情報で、発言内容は誰でも読めることも意識せずに”うっかり”書いたとも思えず。ましてや、意図的に、発言効果を狙った(自虐?)とも思えず。 傲慢な俺様世界?
先日から問題になっている、上田国連人権大使に共通する、日本の高級(&高給)官僚の、人徳品性教養欠如の表れとしか思えない。
彼が、どうして天晴れな”シロアリ官僚”になってしまったか。
ここからは推測ですが、総務省のキャリア組出身というのは、ポイントのような気がします。
エリート官僚。高学歴で、挫折知らず。つまり、一般庶民に比較すれば、温室育ちのサラブレットで、あまりに”打たれ弱い”。
おそらく、何かの市民との席上で何か、本人の意図とは別に、彼にとっての突き上げを食う場面があったのではないでしょうか。そして、市民の側では、興奮をしては居ても罵倒したという意識はまったく無いまま。
そのショックは、彼の内面で深く傷となってしまったのではないでしょうか。
それを、なんとか乗り越えようと、同僚と酒でも飲めば、同じキャリア組なら”市民なんて、所詮、何もわかってない愚民か、意図的に俺たちを貶めようとする左翼かなんだよなあ”という愚痴になる可能性がある。(こういうのは、刑事ドラマとかの見すぎかな?)
最初は、そんなのは、酒の席での愚痴だとわかっているのだけど、同じような(本人にとっての)”突き上げを食う”集会とかが何度か重なると、愚痴がだんだん、”世界の真理”に思えてきてしまう。
頭がいいと自負しているので、自分が知恵を絞って作った答案が理解されず、特に些細な自分のミスで否定されれば、その傷ついた”自我”を守るために、なおさらに相手を愚か者、世の中の道理のわからない”わからずや”にしないと収まらなくなってしまう。
(”被弾なう”というこだわりかたは、そこらの彼の心理を表していると推理できるのでは)
また、これらの驕りによって、怠慢が生じ、早急に進めるべき「原発事故子ども・被災者支援法」の実行が、法律制定から1年たってもまだ出来ていないという状態につながっているのではないかとの指摘もある。
それよりも復興が遅々として進まないことが問題なのだ。
この点に関しては、福島の子どもたちを守る法律家ネットワークの河崎健一郎弁護士が、14日に行われた「子ども・被災者支援議員連盟緊急会合」の席で、水野氏の上司に当たる、伊藤仁復興庁統括官(福島・原発担当)に、子ども被災者支援法の基本方針策定が遅々として進まないのは復興庁全体に問題があるのではないかと鋭く質問している。
「このこと(水野氏のツイッター)は、子ども被災者支援法の基本方針策定の遅れと同じ動向なのではないか。
復興庁全体がこういう体質だったんじゃないか。
(水野氏の)つぶやきを遡ってみていると、船橋市議会議員のかたや、国会議員のかた、他の霞ヶ関のかたと相互フォローしていることが明らかで、匿名でやっていたといっても、隠してやっていたわけではない。多くの知り合いの方と連絡しながら、あのような書き込みが許容されてきた。この事のほうがより大きな問題ではないか。
子ども被災者支援法は、去年6月21日にでき、もうすぐ1年になるが、まだ基本方針ができない。復興庁のホームページにも、子ども被災者支援方が所管法令として上げられていない。余程の怠慢ということだと思う。」
(「子ども・被災者支援議員連盟緊急会合」より。2013/6/14)
この、復興庁の怠慢であったのかという点については、同集会に参加していた井戸川克隆・前双葉町町長が、水野氏のツイートの中に、町長をやめなくてはいけなくなった原因の答えがあったと発言している。
「あの方(水野氏)のおっしゃっていることは、「仕事をしないことが仕事だ」と。
避難が始まって依頼、政府から避難指示はきましたが、いつまで、どこにどのようにという指示はありません。たぶん今もないはずです。
政府の災害対策本部、あるいは福島県の災害対策本部、それぞれあるようですが、私にはその組織も、何をやっているかもわからずに、町長職を終わりました。
この事故を振り返ってみると、主体者が見えない、責任者が見えない。非常に曖昧とした、意味不明瞭な体制の中でやられている。
この事故で町民から責任を問われて、私は町長職を持することになるわけですけれども、事故がなければ辞することもなかったわけです。
避難させることについて、しかたが悪かったために、しっかりとした対応が取れなかったために、彼らの不満を一気にこの体で受けたということです。
何故、加害者でもない、自己責任者でもない私が、町民の方々からの、不満のために責任を取らなければならないのかということは、まさしく昨日の水野さんのつぶやきの中に、答えはあったと思います。
やらないことだったんです。放置することだったんです。今も、放置され続けております。
しっかりやるからということで私のところにきて、帰っていったはずです。
だけど、本心は違ったんだ。その場を取り繕って仕事は終わったんだ。
やる気が無い、その中で子どもたちは日々被曝しているんです。そういう犠牲者を今作っている責任というのをどう考えているのか。」
(「子ども・被災者支援議員連盟緊急会合」より。2013/6/14)
今回のツイッター暴言がきっかけで、水野氏は子ども被災者支援法の担当の任を解かれた。子ども・被災者支援議員連盟の幹事長である谷岡郁子議員は、水野氏は担当の任を解かれるだけでなく、公務員の中立性を考えても違反ではないか、また水野氏だけの責任ではなく、その上司にも責任があるのではないかと伊藤統括官を追求した。
■責任を取らない組織
彼を処分しただけで、全て終わりにしてしまってよいものだろうか。考えさせられる事件である。
論点のすり替えばっかりで結局は「誰もが責任を取らない」と言った社会になっている。何で日本では責任を取らすことを嫌がるのかね?
復興庁のやってる事って全然被災者からは評価されていない。行政の壁とも言えるし、上層部の利権駆け引きなんかもあったであろう。しかしこの官僚は多分、真剣に何とかしたいと思っていた。その板挟みになってストレスが溜まり、ついこういう形で発散してしまった。問題の本質は、この官僚に全部責任を押付けて事なかれとしようとしてる点にある。
水野氏の発言だけでではなく、子ども被災者支援法の基本方針策定の遅れについても、復興庁のなかで責任者なのか見えてこない。この点に対して、河崎弁護士は、伊藤統括官に2点質問している。
1点目は、責任者を決めて、年次計画を立てて、組織として普通の施策を回すのと同じように行わないと、個人としてのサポタージュだけではなく、組織としてのサポタージュと言われてもやむを得ないのではないか。
2点目は、子ども被災者支援法の基本方針の策定にあたって、専門家(原子力規制委員会)に意見を聞いているところだといっていたが、なぜ、当事者を入れてオープンに議論を行わないのか。当事者とコミュニケーションを図らずに物事を決めて進めるということが、トラブルの原因になっているということを指摘し、その点を解決せずに今回の水野参事官の処分だけで済ませるのなら、「トカゲの尻尾切り」で終わってしまうことになる。
伊藤統括官は、復興庁の体制については、状況が刻々と変わる状態であるため、職員は臨機応変に柔軟な組織体制で対応している状態であると回答。また、取組状況については職務を放置しているわけではないが、改善すべき点があるかもしれないので反省する、成果で信頼回復に努めたいと回答した。オープンな議論に関しては回答の機会がなかった。
■オープンにならない議論、オープンにしてしまった内面のつぶやき
子ども被災者支援法の基本方針策定に関して、オープンな議論ができていない点は、被災者にとって復興庁への信用の欠如になっている。多数の意見書が出されているにも関わらず、復興庁の中でどのように処理されるのかという点も明らかになっておらず、この点は、後日、紙面にて回答するよう、14日の緊急集会で復興庁職員は国会議員から指示が出されていた。
国家機密にかかわらないことであるならば、国民にオープンにすべきであるということは間違いない。もちろん、回答文書するための文書を作ることが、さらなる仕事の増加にもつながり、基本方針の策定を遅らせる結果になるかもしれないことも理解できる。また、「文章で提出してください」という国会議員からの一方的な要求に、反論せず黙って頷くしかないような状況は、行政府は立法府と対等なのかと疑問が残る点はある。
しかし、河崎弁護士が緊急集会で「手が足りないのはわかっているから、日弁連から嘱託職員を提供しましょうかという話があった」と発言していているように、政府だけでなく、国民全体が、なんとか早い復興を進めようと協力している点もある。
国民はオープンな議論を望んでいる。心情をオープンにつぶやいてしまった水野氏のツイートには、官僚の日常がわかったという声や同情する声も上がっているのだから。
個人的には彼らの内面が見えて親近感わいた。
失言暴言というよりは内部情報のリークとして前向きに捉えるべきです。
この報道によって一般の国民は官僚の本音を知ることができ、政治が少しだけ透明になりました。
オープンにしないことを危惧していた、河崎弁護士。オープンにすることで、行政に対する国民の協力も得られるのではないか。
☆コメントは引き続き受け付けています。「水野靖久復興庁参事官の暴言Twitter、別の視点での報道を求める声」で、あなたの意見をお聞かせください。
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