日韓合同で行われた最近の世論調査で、韓国人の8割が日本の印象を良くないと思い、中国により親しみを感じていることがわかった。
日本側の主催者である「言論NPO」の調査によると、相手国に対する印象で、韓国に「良い印象を持っている」と回答した日本人は、「どちらかといえば良い」を合わせても31.1%しかおらず、さらに韓国では12.2%に過ぎない。逆に、相手国に「良くない印象を持っている」との回答は、「どちらかといえば良くない」を合わせると日本人で37.3%、韓国人では76.6%も存在しており、韓国人の8割近くが日本人に良くない印象を持っていることがかわった。
「近くて遠い隣人」とはまさにこのことだ。韓流ドラマやK-POPの流行、サッカーW杯の共同開催など、蜜月時代も記憶に新しい。なぜここまで関係が冷え込んでしまったのか。「竹島」をめぐる領土問題、橋下発言で火がついた慰安婦問題、新宿区を舞台に毎週のように行われるヘイトスピーチデモなど、どれ一つとっても両国間の関係を損ねているのは間違いない。
今回の日韓世論調査の結果について、朝日新聞デジタルの記事ではこう報じている。
日本在住30年の権容ソク(クォンヨンソク)・一橋大准教授(42)は日韓両国の根本的な相互理解がまだまだ足りないといい、今回の調査項目にあった『日韓関係を考える際の情報源』に注目する。『(相手国の人との)直接の会話』と答えた日本人は3・8%、韓国人は0・9%。互いの国への渡航経験は両国とも2割程度だった。
「サッカーW杯の共催や韓流ブームがあっても、『日本人はみな右傾化している』とか、『韓国人のすべてが反日』などと信じてしまう人もいる。直接会って話をし、自分で相手の姿を確かめていかないと」
(朝日新聞デジタル「(ニュースQ3)韓国人は日本をそんなに嫌い?」2013/06/11)
ビジネスなどの難しい交渉ごとも、最後は人と人とがどれだけ本音で語り合い、信頼関係を築けたかがものを言う。今回の世論調査の結果をまずは真摯に受け止め、人づての情報ではなく、自分の目や耳で、隣人たちの実像を知る努力を重ねてみてはどうだろう。
■関連リンク
・蔓延するヘイトスピーチの危うさ - WEBRONZA(2013/05/06)
・橋下徹大阪市長の「慰安婦発言」、何が問題か? - 田原総一朗公式ブログ(2013/06/03)
・「反韓」ヘイトスピーチを韓国人が慈しむ訳 - ニューズウィーク日本版(2013/05/20)