地球温暖化が進むとアジアやアフリカを中心に、陸上で洪水になる回数が増えるとの予測を、平林由希子・東大准教授らのチームがまとめた。平林教授らは、温暖化の予測に基づいて、大規模な洪水が発生する頻度が、将来どのように変化するかを調べた。産経ニュースでは洪水の発生について下記のように倍以上になると伝えている。
抜本的な対策が取られずに温暖化が進んだ場合、豪雨や長雨などにより、日本や中国を含むアジアやアフリカ、南米で洪水が増えるとの結果になった。世界にある29の主な河川のうち、黄河やメコン川など多くの河川で、現在は100年に1回の割合で起こる大洪水が、21世紀末には10~50年に1回に高まるという。
(産経ニュース「温暖化、アジア、アフリカで洪水激増の恐れ 最大で14倍に」 2013/6/10 08:28)
「温暖化すると豪雨が増えて洪水が増える」ということはこれまでもいわれていたが、科学的根拠がなく、なんとなくの想像で語られたものであった。しかし、平林准教授の論文により、「結構な証拠」への進化とつながったとみられている。そのため、温室効果ガス排出削減目標の策定要素に、洪水リスクを組み入れることが可能になると考えられる。
アジア、アフリカ地域では、今後人口が増えると予想されており、平均気温が4度上がると洪水の被害を受ける人も現在の560万人から6000万人へ約14倍に増えるおそれがあるという。
また、論文では「その温度上昇が顕著になる前に、大洪水年がやってくるかも」と警鐘を鳴らしている。
洪水の増減の変化に対して、1日単位の豪雨の変化が効くのか、3日間の合計雨量 なのか、1か月の合計の変化が効くのかは、河川の規模や河川周辺の地形によっ て異なります。春先の融雪洪水が多い地域の洪水の変化は、降雪と融雪の量とタイミングに支配されているところもあります。降水量が増えたとしても、弱い雨 の日が増えるのか、強い雨(豪雨)が増えるのかでも異なります。
(「地球温暖化による世界の洪水リスク」ホームページより。)
なお、今回の論文発表をまとめた資料の中では、「考えてみたら、去年の九州の豪雨・洪水、2011年のタイでの大洪水(日本の保険会社の保険金支払いは東日本大震災以上とのこと)、2010年のパキスタンの大洪水などの大水害は、それほど温暖化が進んだとはいえない現在でも生じている。」とも書かれている。
4月12日には、地球温暖化の影響で、東京、大阪、伊勢湾沿岸では、海抜ゼロメートル地帯の面積が1・5倍に広がり高潮被害の危険性が増すと指摘した報告書が、環境省、文部科学省、気象庁から発表されている。ひとりひとりによる、温暖化による洪水リスクを考慮したアクションが必要である。