トルコ国内各地で、エルドアン政権に反対するデモが拡大している。
発端は、国内最大の都市イスタンブールの観光名所「タクシム広場」の再開発計画だった。この広場にあるゲジ公園の存続を訴える運動として始まったが、再開発計画に反対する抗議集会への参加者が先月27日以降に急増。集会の参加者に警察が2度にわたって催涙弾を使用したことで、かえって多くの人が集まる事態になった。警察の高圧的な対応が裏目に出て、一つの公園の存続運動は反政府デモに発展している。
6月2日のロイター通信の報道によると、各地で90以上のデモが発生し、計939人が拘束された。これまでの負傷者はイスタンブールで1000人以上に上ると見られ、ウォールストリート・ジャーナル日本版では、以下のように報じている。
イスタンブール中心部にあるタクシム広場の周辺地域には、日の出から数万人のデモ参加者が集まり始めた。首都アンカラやイズミルなどの複数の都市でも、イスタンブールのデモをまねた小規模のデモが発生した。イスタンブールでは前日に衝突が発生し、広場近くに設置された簡易救急調整センターの医師や看護師によると、この衝突による負傷者は一晩で1000人近くにまで増えた。
(WSJ.com 2013/ 6/02 11:40)
イスタンブールは、2020年の五輪開催に向けて東京、マドリードと招致を争っている。しかし、今回の騒乱によって、五輪の候補地の選定に影響が出る可能性も出てきた。時事通信では以下のように報じた。
エルドアン首相は1日、デモのきっかけとなった広場近くの公園取り壊し計画を撤回しない方針を強調しており、混乱が続けば、イスタンブールが目指す2020年夏季五輪の招致に影響が出る可能性もある。
(時事ドットコム 2013/06/01 23:49)
トルコはイスラム圏としては屈指の世俗主義国家として有名だ。しかし、エルドアン首相は、大学など公の場での女性のスカーフ着用を認める法案を提出するなど、イスラム回帰を思わせる行動に出ており、都市部の知識階級や軍部などには、首相に対する反感が出ているという。
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