「土用の丑の日」のウナギ、今年も値上がり?
水産庁は30日、輸入と国内漁獲で確保された養殖用ウナギの稚魚(シラスウナギ)は、値段が高騰した昨年より25%減り、約12トンにとどまったと発表した。近年、シラスウナギの漁獲は低迷しており、ウナギの価格の値上がりは続きそうだ。
朝日新聞デジタルによると、養殖業者が仕入れる稚魚1キロあたりの価格は、今年は260万~270万円。2004年と比べると約10倍に跳ね上がっている。昨年は215万円だった。
「日本の伝統的な食」の一つ、ウナギを守れ――。ウナギの安定供給を図る水産庁は、あの手この手で対策を講じる。
昨年6月には「ウナギ緊急対策」を公表。全国のウナギ養殖業者を支援するため、保証人が必要のない融資制度を設けた。昨年度の46億円に引き続き、今年度も6億円確保した。
また、水産庁はニホンウナギと、蒲焼きなどニホンウナギを使った加工品に「ニホンウナギ」と表示することを求める方針を示した。外来種と区別することがねらい。国内では、ニホンウナギ以外のシラスウナギを安価な養殖原料として養殖する動きが活発化しており、業界内で評価の定まらない外来種とニホンウナギを消費者が混同してしまうのではといった懸念が高まっているためだ。
記録的な不漁が続くニホンウナギ。国際的な資源管理の枠組みづくりも協議が進む。
ウナギは太平洋赤道付近で産卵。稚魚は海流に乗って北上し日本や中国、台湾などへさかのぼる。資源回復には関係国の協力が必須だ。
そのため水産庁は、ニホンウナギが生息する中国、台湾と昨年9月から資源管理に関して協議を続けているが具体的な対策は示せていない。3者は今年5月28~29日にも非公式協議を行い、時事通信の記事によると、同庁幹部が30日、中国側から養殖場数や面積の制限に関する提案があったことを明らかにした、としている。
また、次のように伝えている。
ニホンウナギの代わりとしてインドネシアなどの別種のウナギを養殖する動きが広がっている。ニホンウナギの不足を補うために別種の稚魚乱獲が行われないよう、ウナギの種類ごとに上限を設ける案が議題に上る可能性もある。
(時事ドットコム 2013/05/30 19:29)
一方、外食産業ではウナギがアツイ。
牛丼チェーン「吉野家」は、6月1日から、「鰻丼」の並盛りを680円で販売する。昨年100円値上げしたが、今年はさらに30円値上げする。
ライバルの「すき家」は一足早い5月28日から「うな丼」を発売。並盛りは昨年と同じ780円だ。
回転ずしチェーンの「くら寿司」も31日から「うな丼」(598円)をメニューに加えるなど、外食産業でのウナギ人気がうかがえる。
こうした需要の拡大による乱獲も、ウナギ漁獲量減少の背景にあるとの指摘もある。
ランチでウナギを気軽に食べられない、食卓から消える・・・。そんな日が訪れるかもしれない。国内外で、ウナギの資源回復・資源保護に向けた具体策が早急に打ち出されることが期待される。
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