兵士に代わって敵を殺傷する「殺人ロボット兵器」(無人機・無人攻撃機)のありかたについて、国連人権理事会で討議される事になったというニュースが報じられている。共同通信はこの背景を下記のように報じている。
遠隔操作式の無人機攻撃が広がる中、兵士を危険にさらさない装備が重宝され、いずれ殺人ロボット兵器の導入に踏み切る国が出てくるとの危機感が背景にある。
(共同通信「殺人ロボット凍結、国連で討議へ 検討委開催も勧告」より。 2013/05/26 02:00 )
殺人ロボット兵器は、無人攻撃機とも呼ばれることも多く、アメリカでは、テロ対策として、無人攻撃機の利用を多用している。
無人機を多用する理由として、時事通信は2010年に次のように報じていた。
米空軍が保有する最新型のMQ-9「リーパー」の機体価格は1機1700万ドル、主力のMQ-1「プレデター」は450万ドル。ステルス戦闘機F22の1機分の金額(およそ3億5000万ドル)で、「リーパー」は20機、「プレデター」なら77機が買える計算になる。
(時事通信「無人機プレデター&リーパー【4】価格はF22の77~20分の1」より。)
また、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、海上での無人機の運用について下記のように報じている。
外国での無人機の飛行や、海外基地からの無人機の飛行には、そのホスト国の政府の承認が必要となる。しかし、ハーマー氏によると、公海上では、海軍の無人機飛行には自由度が大きいという。
(ウォール・ストリート・ジャーナル「無人機の魅力に取りつかれる米海軍」より。 2013/5/14 18:48)
17日には、コウモリ型をした無人機「X-47B」の試作機を、空母の甲板から発進させるテストに成功している。
しかし、無人機に関する内外からバッシングは強い。ロボット自体が、殺傷の判断をおこなうのか、また、戦闘能力を失った兵士や、降伏しようとしている人まで殺す危険性もあるのではないかとの指摘もある。
そのようななか、23日に国防大学で行われた演説の中で、オバマ大統領は、無人機の利用について、テロ容疑者を暗殺するための手段としては「合法」としながらも、今後の利用は、脅威が迫った場合に限るなどと語った。ロイターは、これらの方針変更について下記のように報じている。
これに先立ち、オバマ大統領は22日、無人機攻撃の運用権限を従来の中央情報局(CIA)から国防総省に移管する指針に署名している。
(ロイター「米大統領が対テロで新指針発表、無人機の運用厳格化」より。2013/05/24 09:27)
なお、無人機に関しては、中国の「利剣」と呼ばれるステルス無人攻撃機や、インドネシア政府による無人偵察機の量産などのニュースも報じられている。
人命とコスト、そして安全保障。国連人権理事会の検討結果に、世界から注目が集まる。
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