15日夜、2013年度予算案が成立した。一般会計総額は92.6兆円で、歳入は税収43.1兆円、新規国債発行が42.9兆円となる。財政健全化が叫ばれる中、政府は生活保護費関連予算を670億円削減した。これに合わせて、厚生労働省は、生活保護を受けている世帯が子どもの大学の入学金のために生活保護費を預貯金することを認める方針を13日に固めている。しかし、これに効果はあるのだろうか。
生活保護世帯の預貯金は制度によって制限されており、高校進学に備えるための学資保険や、家電購入費などについては認められていたが、大学入学用の費用に関しては対象外であった。大学進学のための預貯金が認められなかった理由を、朝日新聞デジタルは次のように報じている。
受給世帯の子どもが高校に通うのにかかる費用は保護費として支給されるが、大学進学は対象外だ。一般の進学率が9割を超える高校とは異なり、大学の進学率は5割程度にとどまるためだ。このため、受給世帯の子どもが大学に進むには、その世帯から離れ、生活保護に頼らずアルバイトや奨学金などで収入を得る必要がある。
(朝日新聞デジタル 「生活保護費の貯蓄容認 大学進学目的にも 厚労省」より。 2013/5/14)
今回の方針で、大学進学費用の預貯金は認められることになるが、上記の記事でも指摘されているように、子どもが大学進学したあとは、本人は生活保護世帯から除外される点は変わらない。
一連のニュースを受けて、貯金など無理とする声や、一部のユーザー大学に進学した時点で打ち切られるのはおかしいとする意見などが出ている。確かに国立大学であれば、世帯の年収に応じて、授業料や入学金が免除になるケースも有るということもあるが、圧倒的に私立大学への入学者数が多い日本の現状においては、「国立大学に入れば良い」と切り捨てるのは、ひどい話ではないか。
大学入学者数約60万人。うち、私立大学への入学者数が約47万人という統計が、文部科学省より出ている。また、朝日新聞デジタルによると、国立大進学にも親の所得差がくっきり出ているという。
1 国公立大進学率は、400万円以下の低所得層が7・4%。所得階層が上がるほど進学率も上がり、1050万円以上の高所得層では20・4%となった。私立大はそれぞれ20・5%と42・5%だった。
(朝日新聞デジタル 「国立大進学にも親の所得差くっきり 06年調査から一転」より。 2013/05/16 06:49)
国は「貧困の連鎖」に歯止めをかける取り組みをすると報道がされている。しかし現状は貧困の連鎖を断ち切る政策を出しているといえるのか。あなたが、もし生活保護を受ける立場だったら、このニュースに対してどう感じるだろうか?
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