ピンタレスト(Pinterest)は、広告主提供の画像をボード上に貼り付ける"Promoted Pin"サービスを試験的に実施することになった。
ピンタレスト・サイトでは、Web上で気に入った画像をユーザーが投稿する形で貼り付ける(pinする)ことによって、皆で画像を共有する。ボード上ではユーザーお気に入りの画像で埋め尽くされていくのだが、その中にユーザー画像と同じフォーマットの広告主画像が紛れ込む形で掲載されることになる。ユーザーの反感を恐れて慎重に進めていたが、いよいよゴーサインを出したのだ。広告主画像には、広告であることを示すために小さく"Promoted Pin"と記されている。(以下のスナップショットを参照)
ピンタレストは、そろそろ収益化を示すべき段階に入っている。そこでやはり広告収入に期待したい。幸いなことに今年に入って、ピンタレスト経由で訪れた顧客による小売店サイトの売上が大きく伸びているという調査結果が出始めている。たとえばAddShoppersは、1万店を超える小売サイトで、ソーシャルメディア経由の顧客がどのような商品をどれくらい購入しているかをきめ細かく追っている(測定結果はこちらで)。以下のグラフは、観測対象の小売サイトの全ソーシャル売上のうち、経由元の各ソーシャルメディア顧客による売上がどれくらい占めているかを示している。
四半期単位のシェア推移を示しているが、ピンタレストのシェア拡大が際立っている。今年の第2四半期では、ソーシャル売上のシェアがピンタレストが23%、ツイッターが22%、フェイスブックが28%となっている。1年前には、フェイスブックが55%であったのに対してピンタレストがわずか2%しかなかった。この1年間で、多くのピンタレストユーザーがpinされた商品画像を見て、小売サイトで商品を購入するようになってきているのである。参考までに、最新の8月のシェア結果を掲げておく。
この結果からも分かるように、小売サイトにとってピンタレストユーザー向けの販促は重要になってきた。そこで、小売サイトを運用するeコマースやブランドを広告主とする"Promoted Pin"を、ピンタレストが立ち上げたのは当然の流れかもしれない。ただ、ピンタレストのボードには、ユーザー(消費者)お気に入りの画像が並んでおり、ユーザーのコミュニティーの場にもなっている。そこにこっそりと広告主の画像が入り込むことに対して、ユーザーから反発を受けるかもしれないし、また広告主がpinした画像はあまりクリックされないかもしれない。
ところで、フェイスブックやツイッターでも同じような懸念を抱いたことがあった。フェイスブックのニュースフィードやツイッターのツイートなどのストリームに、ブランドコンテンツを挿入する広告が、今では順調に離陸している。さてピンタレストの"Promoted Pin"もうまく飛び立つことができるかどうか、である。
<参考>
・Planning for the future(Pinterestの公式Blog)
・CHART: Pinterest Has Exploded As An E-Commerce Player, Driving Nearly One-Fourth Of Social Commerce(Business Insider)
(※「メディア・パブ」2013年10月11日の記事を転載しました)