ニュースメディア、さらにはソーシャルメディアが、米国民のイデオロギー分断を加速化させているようだ。リベラル派も保守派も含めた米国民共通の信頼できるニュースソースが事実上存在しない。
米国民がイデオロギーの違いによって、どのニュースソースを信頼しているか、あるいは信頼していないかを、Pew Research Centerが調査した。以下はその結果を色分けしたグラフである。
回答者を、Consistently liberal(いつもリベラル)、Mostly liberal(概ねリベラル)、 Mixed(中間)、Mostly conservative(概ね保守)、Consistently conservative(いつも保守)の5層に分けて、それぞれの層の国民がどのニュースソースを信頼しているか、信頼していないかを調べた結果である。赤系色は信頼している人の割合が多い場合、灰系色は信頼している人と信頼していない人がほぼ同じ場合、橙系色は信頼していない人の割合が多い場合である。
NYタイムズやワシントンポストのようなリベラル系新聞は、当然のように、リベラル派国民から信頼されているが、保守派国民からあまり信頼されていない。その逆でFoxニュースは、リベラル派国民から信頼されないが、保守派国民からは圧倒的に信頼されている。ここで興味深いのは、経済専門新聞のウォール・ストリート・ジャーナルを除いて、リベラル派から保守派までのどの層からも、より多くの人から信頼されているニュースソースがないことだ。米国民にとって海外メディアであるBBCとEconomistが、一部保守派を除けば、信頼されているのが目立つ程度である。
またアラブ系メディアのAl Jazeera Americaは、一般の米国民から受け入れられにくいと見られていたが、リベラル派からはかなり信頼されているようだ。BuzzFeedは面白い話や泣ける話などを期待されているものの、政治的な話はまだ信頼されていない。
◇参考
・Political Polarization & Media Habits(Pew Research Center)
(2014年10月21日「メディア・パブ」より転載)