米国の10代、急激にフェイスブック離れが進む一方で、インスタグラムとスナップチャットの人気急騰

Piper Jaffrayは毎年春と秋の年2回、米国10代の消費動向や人気ブランドを調べており、今秋は13歳から19歳までの9400人(男性比率が56%)の若者を回答者として実施した。

若者のフェイスブック離れが進み、それに代わって写真共有のインスタグラムやスナップチャットの人気が急上昇している。2年ほど前からいくつかの調査で明らかになってきていたが、このほど実施された投資会社Piper Jaffrayの10代市場調査(2015年秋版)でも、この傾向が一段と加速化していることが明白になった。

Piper Jaffrayは毎年春と秋の年2回、米国10代の消費動向や人気ブランドを調べており、今秋は13歳から19歳までの9400人(男性比率が56%)の若者を回答者として実施した。図1は、主要SNSを対象に、最も重要なSNSは何かを指名させた調査結果である。各SNSに対して、回答者の何%が最も重要と見たかを、2012年秋から15年秋までの推移で示している。

図1 10代の米国人が最も重要とみているSNSは? Piper Jaffrayの調査より

フェイスブックを最も重要なSNSと見た回答者の割合が、2012年秋に42%もあったのが15年秋には15%へと激減している。一方インスタグラムは、12年秋に12%であったのが15年秋に33%と3倍近くも増え、フェイスブックよりもはるかに重要なSNSと位置付けられているのだ。さらに生まれて4年ほどのスナップチャットも19%とフェイスブックを一気に追い抜いている。実際に最も頻繁に利用しているSNSとしてはまだフェイスブックがトップのようだが、ただ大人が主導のフェイスブックから離れたいという若者の思いが急速に膨らんでいるのは間違いない。

このファイスブック離れの流れは20代にも波及している。18歳以上の米成人を対象にSNS利用調査を実施しているPew Research Centerが、大人のオンラインユーザーがどのSNSを利用しているかを調べた結果を図2に示す(複数のSNS利用も含む)。フェイスブックに利用率は微増しているものの、大人全体では72%あたりで天井感が出ている。30-49歳層のフェイスブック利用率を見ると、2014年春に63%であったのが15年春には79%と増えており、中核ユーザー層の高齢化が一段と進んでいる。ところが18-29歳の若年層のフェイスブック利用率は、14年に87%であったのが15年に82%へと落ちていた。20代の若年層ではフェイスブック離れが始まっているのだ。一方で大人の世界でもインスタグラム人気は28%と年々増えてきているが、ここでも18-29歳の若年層のインスタグラム利用率は55%と若い人たちの間での人気度が際立っていた。

図2 米国成人の主要SNS利用率の推移。 Pew Research Centerの調査より

Pew Research Centerも珍しく13-17歳の10代を対象にしたSNS利用調査を、14年秋から15年春にかけて実施していた。それによると、米国の10代が最も頻繁に利用しているSNS(単一回答)は、フェイスブックが41%、インスタグラムが20%、スナップチャットが11%と、フェイスブックがトップを維持していた。同時に世帯所得額階級別に10代が最も頻繁に利用しているSNSも調べていた。図3に示すように、富裕層ほどフェイスブック離れが進み、インスタグラムやスナップチャットの利用率が高くなっているという興味深い結果が出ていた。10代特有の現象か。富裕層家庭の若者ほど、自慢したいファッションや美容、美食などの写真をたくさん撮っているせいかもしれない。

図3 世帯別所得により、10代のSNS利用率が異なる。  Pew Research Centerの調査より

Piper JaffrayとPew Research Centerの両調査から、10代を中心に20代も含めてフェイスブック離れが加速化しているといえよう。ただ、まだフェイスブックが利用率の最も高いSNSとなっているのは、学生や社会人となると付き合い上使わざる得ないためかもしれない。でもPiperの調査結果のように、10代の間で大切なSNSとしてフェイスブックからインスタグラムやスナップチャットなどへのシフトが急激に進んでおり、気持ちの上でのフェイスブック離れが止まりそうもない。一方で、フェイスブックの中核となる中高年層は逆に増えてきているようで、気持ちの上でもフェイスブックから離れなれなくなっている中年が多そう。

Piper Jaffrayが実施している米国10代の消費動向調査は、30回目を迎えており、今秋も興味深いデータを多く提示してくれている。例えば上のインスタグラムやスナップチャットと関連する消費では、GoRroの調査があった。GoRroカメラを所有している10代の割合は、今春の17.9%から今秋の19.8%と増えていた。GoRroで撮った動画も、若者はインスタグラムやスナップチャットで共有しているのだろう。

◇参考

Mobile Messaging and Social Media 2015(Pew Research Center)

(2015年10月18日「メディア・パブ」より転載)

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