皆さんこんにちは。米国認定音楽療法士の佐藤由美子です。
先日ABCニュースで、すべての音楽療法士が「今週の人」(Person of the Week)に選ばれました。
ABCはアメリカの大手ニュース局。夕方のWorld News Tonight という番組の中で、毎週「今週の人」を選びます。選ばれるのは、有名人や地域で貢献している人などです。過去に選ばれた人たちは、歌手のビリー・ジョエル、女優のケイト・ブランシェット、FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグなどです。
ではなぜ、「すべての音楽療法士」が「今週の人」に選ばれたのでしょうか?
こちらが、ABC World News Tonightのビデオです。
ビデオに出てきるのは、ガブリエル・ギフォーズ。2011年に連邦下院議員だった彼女は、発砲事件により、頭部を撃たれ重体となりました。その後、彼女はさまざまなリハビリをしましたが、その中でも大変効果があったのが音楽療法でした。
ガブリエルが音楽を通じて、スピーチを取り戻す姿をご覧ください。
脳損傷や脳梗塞などによって言葉が話せなくなった患者さんが、音楽療法で言葉をとり戻すことがあるということは、さまざまな研究結果からわかっています。
その他にも、障害や病気を持った子どもや、精神的トラウマを抱える人、末期の患者さんなど、音楽療法はさまざまな人たちに効果的です(→「音楽療法 Q&A」)
日本で音楽療法と言うと、高齢者や認知症の患者さんと行うもの、というイメージがあると思います。でも実は音楽療法士は、出生前から終末期を含めた人生すべての段階で、人々をサポートするのです。
アメリカでは音楽療法士が幅広い分野で活躍し、その実績が認められています。だからこそ、このように大きくメディアで取り上げられ、「今週の人」に選ばれたのです。
ビデオの最後に、アナウンサーが言っています。
音楽療法士と患者さんが、(音楽によって)つながっている
音楽療法士と患者さんとの「関係性」。まさにそれが、音楽療法において最も大切なことなのです。
ただ単に、患者さんに音楽を聴かせているのではありません。楽しく歌ったり、楽器を弾いたりしているだけでもありません。音楽によってできた信頼関係があるからこそ、セラピーが成り立つのです。
日本でも、音楽療法の必要性に気づいている人が増えています。音楽療法は注目されているだけではなく、必要になってきているのです。
あなたや、あなたの大切な人に音楽療法が必要になったとき、それを受けられるような社会になってほしいと思いませんか?
(「佐藤由美子の音楽療法日記」より転載)
参照:『ラスト・ソング 人生の最期に聴く音楽』(ポプラ社)
Twitter ID: @YumikoSatoMTBC
Facebook: ラスト・ソング Facebookページはこちら↓