コード・ウィークというイベントをご存知でしょうか。2015年10月10日から18日にかけて、世界的に開催されたイベントで、欧州委員会(European Commission)の通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(DG Connect)のサポートによって、2013年から始まった取り組みです。関連したイベントが学校などで開催され、子どもを中心に15万人以上が参加します。
今私たちが住んでいる現代はテクノロジーが急速な進歩を遂げています。働き方、コミュニケーションの仕方、ショッピングの方法も、考え方も大きく変化しています。そんな大きな変化に向き合い、自分たちが生きている世界を理解するには、テクノロジーがどのように機能しているのかを知るだけでなく、それを使いこなせなくてはなりません。それが今の時代を生きていくのに必要な能力です。 コードを学べば、テクノロジーがどのように機能するか理解し、新しいアイディアを探求し、さらにそれらを実現させることができます。仕事としても、遊びの場でも。近くの人と、世界中の人と一緒に、私たちの自由な想像力のままに。
このコード・ウィークの一環として、4歳の私の娘のクラスでコードを学ぶという話を聞いた時、私は少し驚きました。私自身がコンピュータに詳しくないどころか、むしろ苦手、ということもありましたが、まだ字もまともに読めない子どもが何をするのでしょう。
ロボットを作ろう
「ロボットは何からできているか知っている人は?」
授業はこんな先生の質問から始まりました。
「鉄!」「ブロック!」「ボタン!」「電気!」「マシーン!」
子どもたちは次々に思いついたことを発言します。
「ロボットは何ができると思う?」
「ロボットはマシーンだよね。マシーンは考えることができない。人間が何をするか命令するんだよ」
次に、子どもたちはロボットが校庭で何ができるか考えました。子どもたちのアイディアは、すべり台やおにごっこ。ロボットと一緒に遊んでみたいようです。
そして工作の時間が始まりました。自分たちでロボットを作ります。今日作るロボットは、段ボールのロボット。2人がかかりでロボットの顔を作ります。先生に目をくりぬいてもらい、思い思いに飾り付けをします。
顔が完成すると、早速子どもたちはかぶって遊んでいました。
ロボットを動かそう
完成したロボットをどうやって動かすことができるか、先生は質問します。そこで子どもたちは、ロボットがボタン(コード)で動かせるということに気づきます。コードを使ってロボットを動かすのです。そのことを理解した子どもたちは、自分たちの作ったロボットが校庭の落ち葉を拾うというプログラムのコードを書きます。
「どんなコードが必要だと思う?」
一斉に子どもたちの手が挙がります。
「進め!」「止まれ!」「拾え!」「早く進め!」
右足を前に出す、左足を前に出す、右を向く、左を向く、ジャンプする、しゃがむ、つかむ、という絵が描かれている紙が子どもたちに配られました。子どもたちはその絵のコードをひとつずつ切り取り、順番を考えながら紙に貼っていきます。コードが完成しました。
いよいよロボットが葉っぱを拾えるかテストします。ロボット役の子が段ボールのロボットを被ります。もう一人の子が自分の作ったコードの順番に
「右足を前、次は左足を前」と指示をしていきます。
うまくいかなかったらコードを直してもう一度試します。ロボット役の子がうまく葉っぱを拾えた時のうれしそうな顔。子どもたちはとても楽しんでいました。
現代の子どもには必須
時代が変われば教育も変わる、ということを見た思いがしました。この授業は4歳から8歳程度の子どもを対象に考案されたもので、どうやってコードを書くか、ということよりもコードの背景にある考え方(オートメーション、コマンド、デザイン、テスト)を工作やゲームを通じて理解することに焦点が当てられています。
イギリスの国が定める学校カリキュラムでは、5歳からアルゴリズムが授業に出てきます。コードだけではありません。7歳の息子はインターネットでの情報収集の方法や、ワードやパワーポイントなどのソフトウェアを使って自分の考えを表現することを授業で習っています。
パソコンやタブレット、スマートフォン。使わない日はないくらい生活に浸透していますが、大人自身もこれらとどう付き合ったらいいか手探りだと思います。我が家では子どもたちがタブレットでゲームをしたり、動画を観たりしたがります。どれが良くてどれが良くないかという線引きや使用時間のルールがなかなか定まらず、頻繁に子どもと話し合いです。いっそのこと全部禁止にしてしまおうかと思ったこともありましたが、むしろ触れた方がいいと考えるようになりました。
4歳でコード??と私は完全にひるんでいましたが、楽しみながら子どもたちは学んでいました。ただ受け身にゲームや動画を楽しむだけでなく、彼らにその仕組みや機能を知ってもらいたいと考える良いきっかけになりました。コード・ウィークのサイトには、子どもがコードを学べるサイトがたくさん紹介されていて、大人の私が見ても勉強になります。本当は毎日がコード・ウィークです。
写真協力: the British School of Amsterdam
野口由美子 (ブログ Parenting Tips)