またもや政務活動費が問題となっている。
23日発売の「週刊新潮」は、橋本健神戸市議が2010年から14年の5年間に政務活動費を使って計12回発行・配布したとされる政策チラシのうち8回分(約56万5000部、720万5330円を計上)について架空発注の疑惑があると報じている。
疑惑に伴い、23日、橋本市議は神戸市役所で記者会見した。橋本市議は「友人らとマンションに配布するなどしたが、多い時は半数以上を余らせ廃棄した」と説明し「一部を配布せず、廃棄していた」と明らかにした。
半数以上の廃棄をするほどの枚数を税金である政務活動費で発注していた、という事実に違和感を隠せない。議会報告を実際に制作して配布を行うことは非常に大切なことであると私は認識している。
実際に筆者も市議時代からこまめに自身の議会報告「ゆうcan change!!」を制作して県議としての合計6年間ですでに20号を超えたチラシを作って自身の政策や議会活動内容、実績を市民・県民へと知らせている。
中身が重要であることは言うまでもないが、事務的な事柄で重要となってくるのは発注枚数と配布方法だ。
千葉県議会では議会報告チラシについては「議会に関わっている部分のみ」を按分計算で政務活動費として計上することができる。
プロフィール等は議会に関係ないことなので、私は定規などを使いながら図って政務活動費に按分で充てるようにするほど気を遣っている(ちなみに我孫子市議の頃は我孫子市議会では議会報告を政務活動費から支出することは規約によりできないために全て自腹で行っていた)。
次に配布方法だ。
千葉県議会議員は新聞折り込みをする議員が少なくない。印刷業者に依頼し、新聞折り込みをすれば即座に数万枚はなくなる。
そして、SNSを駆使する議員であれば必ず「今日の新聞折り込みに入っていました」「読みました」というコメントが入るはずだ(ポスティングや駅頭でも同様の書き込みがある)。
私の場合、この議会報告チラシの配布については後援会やボランティアスタッフの皆さんと発注前に協議をし、新聞折り込み以外の配布方法について役割分担を行う。
つまり、駅頭で何枚、ポスティングで何枚、今回は新しいボランティアさんが加わったから少し多めに発注してみよう、などという協議だ。
私からすれば、税金で制作した渾身の議会報告を1枚でも無駄にはしたくはない、という気持ちがあるため、半数以上を廃棄などということはまずもってあり得ない。
万一、配り終えない状況となってしまったとしたら、次回からは少なく発注するであろう。
つまり、もし橋本市議が廃棄したという事案が2回以上あるとすれば、一切の計画性もなしに発注しているということになる。
そもそも数百枚、数千枚という単位ですらポスティングや駅頭で配布することは、かなりの人数の協力が必要であり、労力を要する。
これは地方議員や選挙関係者であれば誰もがわかることであると思う。
ましてや1回に数万枚発注していたとなれば、友人だけでポスティングをするというのは現実的な話ではないため、新聞折り込みやポスティング業者に依頼していたのかどうかも今回の大切なポイントの一つとなると考えられる。
今回の架空請求疑惑が晴れたとしても、税金である政務活動費を活用した議会報告の半数以上を廃棄してしまったということの方にも同様に焦点をあてるべきであり、全ては議員の「税金という意識と民間感覚の欠如」が招いている問題であることを指摘したい。