安倍政権の今後を合理的に考える――異端的論13

内閣と自民党支持率が下がる中で、アメリカの意図もあり、歴史修正主義の旗を振り上げることのできない安倍首相にとって、その状況で総理大臣であることの意味は薄れるのではないか。
KAZUHIRO NOGI via Getty Images

安倍政権の今後を合理的に考える~安倍首相は祖父岸信介の道を歩むのか

今回の安全保障法制の関連法案を通すのであれば、自衛官の危険度合いが高まるのは当たり前だと思うのだが、政府の答弁などを聞いていると、内田樹の言う「すべてがうまくいった場合についてだけ考え、すべてが失敗した場合については何も考えない」という日本人の流儀そのものである。先回の連載で、現実的に考えれば、まずは、危険度の高まる当事者である自衛官の軍人化が最優先であると申し上げたのだが、これについて、コメントでは全く反応がなかった。安倍首相を筆頭に政府も国民もこの点に関しては、興味はないようである。いまのままでは、政府が脅威を強調する仮想敵国に軍人と認められない自衛官の方々のご苦労が察せられる。

さて今回の連載であるが、安倍政権の今後をアメリカ政府と自民党のベネフィットとリスクの観点で合理的に類推してみたい。

まず、衆議院の3分の2以上の賛成で再可決という強行的な議決のシナリオは決定的である。衆議院可決後、7月16日に参議院に送付された安全保障法制の関連法案は、60日ルール(衆議院から法案を受け取ったあと参議院が「60日以内」に議決をおこなわないと、「参議院がその法律案を否決したものとみなす」ので、衆議院での「3分の2の賛成による再可決」で法案成立となる)を適用すれば9月14日以降に衆議院での再議決が可能となる。自民・公明の両党で、衆議院での再可決に必要な3分の2を超える議席を有しており、安倍政権は、この60日ルールを適用するので、安全保障法制の関連法案の成立は確実な情勢であると言える。

6月に決定した今回の95日と言う戦後最長の国会会期延長の背景には、7月に予定していた衆議院での強行的な法案採決に対する国民の反発に加えて、8月は広島、長崎、終戦記念日と戦争と平和に関する行事が多く、また、今年は戦後70年という節目でもあり、この安全保障法制関連法案に関する国民の「違憲立法」や「戦争法案」であるといったネガティブなイメージを払拭することは難しいという事情を考慮すると、この社会的な雰囲気を背景に参議院での審議が順調に進むとは思えないので、法案は60日以内に参議院で議決はされず、その後衆議院での3分の2の賛成で再可決するという安倍政権の思惑が働いたと言える。

今回のシナリオに、アメリカ政府は満足していると言えよう。理屈としては、今回の憲法解釈の変更を次の野党内閣がひっくりかえすことは可能であるが、今後、現在の自民党のように衆参両議院で圧倒的な議席を一党が有する可能性はあまり高くはない、つまり、2009年の民主党の地滑り的勝利のように反自民の政党が衆議院で圧倒的議席を得る可能性は低く、今回の解釈が近い将来覆されると考えることは現実的ではないので、アメリカとしては最重要の目的を達したといえる。

アメリカは、安全保障に関して日本に応分の責務を果たせと言っているのである。実際、軍事予算が削減されるアメリカ軍に頼ることに限界はあり、日本がアメリカの傘のもとにいる限り、集団的自衛権の容認はアメリカにとって当然の話である。それを再度確認するかのように、米海軍当局者は8月5日、安倍政権が今回の解釈変更で想定する唯一の集団的自衛権行使のシナリオである中東ペルシャ湾で今秋の大半の期間に米空母が、少なくとも2カ月の間不在となる異例の事態が生じるとの見通しを示した。「船体の定期的な維持修理作業に加え、米連邦政府機関で進められる強制的な予算削減措置を受けた措置である」と報じている。これは、偶然と言うよりも、衆議院で首尾よく再可決するようにとの安倍政権へのかなり強いメッセージであろうか。

7月の衆議院での法案可決後、アメリカのマスメディアの論調も民主党寄りのワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなどのリベラル有力紙は、歴史修正主義的な安倍政権への批判度合いを強めてきている。これは想像に難くない。そして、共和党に近いと言えるウォール・ストリート・ジャーナルの論調は、可決前と可決後を比べると、安倍政権の憲法解釈変更への支持の姿勢は基本的に変わらないが、可決後の表現の変化が興味を引く。可決前の7月1日付の見出しは「Japan Policy Shift to Ease Restrictions on Military-Reinterpretation of Constitution Allows Military to Aid Allies Under Attack」であり、7月16日の衆議院可決後の7月17日付の見出しは「Japan's Peaceful Self-Defense-A constitutional rewrite will advance security in the Pacific.」である。「Military」から「Peaceful」という表現の切り替えには、今後は国内をまとめて、積極的に集団的自衛権のスキームでの役割を担い、より責任を持つように前向きに頑張って欲しいと言った印象を受ける。そして、衆議院での法案可決の前後で「Reinterpretation of Constitution(憲法の再解釈)」から「A constitutional rewrite(憲法の書き換え)」へ表現を変更したことは、アメリカにとっての安倍政権のお仕事(ミッション)は終わりモードであることを示しているのかもしれない。

今後、アメリカはその論点の矛先を、安倍政権の強硬な歴史修正主義に向ける可能性がある。なぜなら、それが、中国とのジョイントヘゲモニーを模索するアメリカにとってのカードではなく、リスクとなるからである。安倍首相の思想的代弁者と目される自民党の稲田政調会長は、7月30日の記者会見で「東京裁判で認定された事実をきちんと日本人自身が検証し、反省すべきことを反省し、将来に生かしていくことが必ずしもできていない」と語り、自民党として検証していく必要性を強調し、14日の安倍首相の戦後70年談話の発表後に、東京裁判や連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策などを検証するための党内機関を発足させると述べている。果たしてこのような党の機関が発足したのかは未確認であるが、この稲田発言が今後どのように展開するかは、安倍政権はアメリカにとってのリスクファクターという文脈で興味深い。

このように、集団的自衛権の行使と歴史修正主義を一対と捉え、歴史修正主義路線を強化したい安倍政権であるので、今後、アメリカにとっての安倍政権はベネフィットよりもリスクが高くなり、アメリカにとってリスクファクターになる可能性がでてくる。対米従属路線(孫崎氏が批判する対米従属の頸木)が基底である限り、アメリカにとっての安倍政権の価値はもはや高くなく、アメリカの関心は「peaceful self-defense」を維持、遂行するための自民党政権の安定的維持に移りつつあると言えよう。それを、安倍首相と自民党はどのように感じているであろうか。

次に、安倍政権の自民党にとっての利益と不利益で考えてみる。

国内では、安倍政権を取り巻く状況は悪化している。今回の衆議院での強行的可決により、内閣支持率の低下が止まらない。加えて、礒崎首相補佐官が、安全保障関連法案に関して「法的安定性は関係ない」などと述べて、参議院安保法制特別委員会の参考人質疑に呼び出され、当の礒崎氏は、法的安定性を否定する考えはなかったとする一方で、「大きな誤解を与えた」と発言を取り消したが、首相補佐官の職務を継続する意向を示した。毎度のお話である。問題を指摘されるといとも簡単に前言を撤回し、自分の発言に責任をとれない人間が首相の補佐官である。また、自民党の武藤衆議院議員のツイッターでの「SEALDsという学生集団が自由と民主主義のために行動すると言って、国会前でマイクを持ち演説をしているが、彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ。」という投稿は、やはり、現役の国会議員の書くべきものではなかろう。自民党内の政治家としての規範が窺い知れる。武藤議員は、その後の週刊誌での金銭トラブルの報道もあり、結局、離党届を提出した。自民党は「離党は本人の意思であり、説明責任が果たせないのだから離党は仕方がない」として、早々に離党届を受理し、「離党によって、一定のけじめをつけた」と言う毎度おなじみの官邸と自民党の火消し・幕引きである。

事実、内閣支持率の低下のみならず、自民党の支持率にも関わるので安倍内閣の不利益が目立ってきている。政界で有名な法則がある。内閣支持率+与党第一党の政党支持率(青木率)が50%を切ると政権が倒れるという、いわゆる「青木(元自民党参院議員)の法則」である。共同通信社が、衆議院での法案可決後の7月17と18両日に実施した全国電話世論調査によると、最新の青木率は、37.7%(内閣支持率は)+31.9%(政党支持率)=69.6%と70%を割り込んでいる。また、8月7日~9日に行われた最新のNHKの世論調査では、37%(内閣支持率は)+34.3%(政党支持率)=71.3%である。4月の時点では、88.8%(内閣支持率が51%、政党支持率が37.8%)であったので、内閣と自民党ともども支持率は低下傾向にある。徐々に危険水域に近づきつつあると言えるかもしれない。今後の9月の衆議院での再議決などの政治日程を考えても、内閣支持率と自民党の支持率の反転は期待薄ではないか。

地方創生と豪語する安倍内閣であるが、昨年7月の滋賀、11月の沖縄、今年1月の佐賀の県知事選の3連敗に続いて、今月9日の埼玉県知事選で、民主党県連が支援した現職の上田氏が自民党県連の推薦候補に大差をつけて当選し、知事選は自民党候補の4連敗となっている。加えて、今月20日に告示された岩手県知事選に立候補予定だった民主党を除籍された平野元復興相(参議院岩手選挙区)が7日、出馬を断念している。全面支援の構えであった自民党であるが、安全保障関連法案への世論の反発で内閣支持率が急落し、形勢不利とみた安倍政権の意向が働き、不戦敗を選んで、事実上の知事選5連敗を早々に認めている。自民党を支える基盤である地方が自民党から離脱し始めている。これは、自民党政治家にとって、安倍政権と自民党が同一視されることは、自分たちの不利益となりつつあると言えるのではないか。自民党と安倍内閣とのパワーバランスの変化のはじまりと言えるかもしれない。

事実上の知事選の5連敗や急速な内閣支持率の低下を目の当たりにして、強硬な安倍首相も流石に多少の譲歩はやむなしと思っているようである。事実、8月6日の広島市での平和記念式典では、非核三原則に言及せず、歴史認識についての修正主義路線を堅持したい安倍首相であったが、野党や被爆者団体などから批判の声が上がり、8月9日に長崎市で行われた平和祈念式典のあいさつでは非核三原則を堅持する方針を明言し、安倍首相は修正を余儀なくされている。また、8月14日に閣議決定する戦後70年の首相談話をめぐり、安倍首相が8月7日夜に自民、公明両党幹部に示した原案には、戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話に盛り込まれたアジア諸国への「おわび」の文言が入っていなかったが、結局、14日に閣議決定され、発表された戦後70年の首相談話(米議会での演説原稿同様に、谷口智彦氏によるスピーチライティングであろう今回の安倍首相70年談話は、一人称性に欠けるが、内容的には優等生的で良くできている)では、「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「心からのおわび」という俗に言う4つのキーワードがすべて復活した形になり、安倍首相自らの謝罪は避けてはいるが、最初の強硬路線から考えると大きく後退した感は否めない。今年も15日に靖国神社への参拝は行えず、代理を通じ、自民党総裁として私費で玉串料を奉納したに留まっている。

歴史修正主義(アメリカではconservative nationalistと呼ばれている)の立場を変えたくない安倍首相ではあるが、平和政党を公言する公明党には立場があるので、従来の強硬路線を維持すると、自民党と公明党との隙間が広がる可能性がある。安倍首相にとって、9月の衆議院での安全保障法制の関連法案の3分の2での再可決が、前述したようにアメリカに約束した最優先の政治課題であるので、安倍首相の思想的特色を失う竜頭蛇尾的行動ではであるが、歴史修正主義路線での公明党への大きな譲歩はいた仕方ないであろう。なぜなら、自民党単独では、291議席(衆議院の総議席は475議席)であり、再可決の3分の2には足りないので、どうしても、公明党の35議席が必要になるからである。

強硬な歴史修正主義の立場が安倍首相の存在意義であり、保守派の支持を得る基盤でもあるので、歴史修正主義の立場は維持するとしても、今回の竜頭蛇尾とも腰折れとも取れる譲歩は、安倍支持者にとっては、安倍首相のリーダシップの喪失であり、存在意義の希薄化につながりそうである。

また、安倍首相は一人称での謝罪を避けてはみたものの、15日の全国戦没者追悼式でのお言葉で天皇陛下が「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」と述べられ、先の大戦に対する深い反省について初めて言及されたことで、安倍首相が自らの謝罪を避けたことの意図が、保守派支持層の間で首相の思惑どおり働くかは疑問となったのではないか。

自らの謝罪を避けた安倍談話と「深い反省」と踏み込んだ今回の天皇陛下のお言葉を対比して、アメリカのマスメディアは、天皇陛下のお考えが、安倍首相とは対照的で異なると報じている。ブルームバーグは、8月15日に配信した記事の中で、「His words contrasted with those of Prime Minister Shinzo Abe, who said in a statement Friday that Japan shouldn't be expected to continually apologize for a conflict that ended 70 years ago.」と表現し、ニューヨーク・タイムズは、同じく15日の電子版で、「they (deep remorse)could reinforce a belief among some observers that Emperor Akihito is taking a quiet stand against the policies of Prime Minister Shinzo Abe.」とより、強い表現をとっている。保守的ナショナリストである安倍首相の立場は伝統的右派の中でも微妙になろう。

これに加えて、前述した稲田政調会長による「東京裁判や連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策などを検証するための党内機関」が、首相談話後に果たして発足したのかは未確認であるが、もし、発足すれば、「反省すべきことを反省」するための組織と位置づけてはいるが、当然、海外からは「歴史修正主義」との批判を浴びることは言うに及ばず、天皇陛下のお考えと異なるとあれば、流石に保守的な自民党内からも強い懸念の声が上がるであろう。谷垣幹事長はこの11月の結党60周年で「党員の一致結束と党勢拡大を誓い、党是の憲法改正など、わが国と党の未来像を共有する」と述べているが、このままでは、一致結束というよりは、自民党は日本会議系統の強硬右派の独り歩きと支持率低下の中で分裂の危機を迎えるのではないか。もし発足しなければ、これまた歴史修正主義者としての安倍首相の竜頭蛇尾であろう。

最後の頼みのアベノミクスも、つまるところは紙幣を刷って、刷って、金融緩和と財政出動を続け、円安に頼むだけでしかなく、金融緩和の出口もまず見えてこないであろう。自らの通貨の価値を下げる政策は、かならずしっぺ返し、つまり、将来大きな負債となって返ってくることを認識すべきである。結局、アベノミクスとは、一部の大企業とストックブローカー(株式仲買人)と投資家に利益のあることをしているだけであると言われても仕方がなかろう。薪がないのに、火つけのスターターをつぎ込み続けるというアベノミクスの実態が露呈することとなるであろう。GDPの大半を占める個人消費が足を引っ張ったかたちで、この4月~6月期のGDPが対前期比で0.4%のマイナス成長(年率でマイナス1.6%)となっている。このような状況では、アベノミクスの看板は、自民党にとって利益よりも不利益となりつつあるかもしれない。特に、地方ではその傾向が強そうである。毎度のことであるが、そぞろ政府内で緊急経済刺激策と称する補正予算の話が出てくるであろう。結果、国家財政は悪化こそすれ、健全化はしない。

このような状況の中で、石破と小泉の両氏は強行ともいえる今回の衆議院での採決に異議を唱え、安倍首相との距離を取り始めているように見える。内閣支持率と自民党支持率の獲得がかい離を始めているとも言える。つまり、自民党議員も安倍首相では来年の参議院や地方選挙は戦えないと考え始めているのではないか。かの大野伴睦ではないが、議員は自分が「当選してなんぼ」である。落選する可能性は排除に回るはずである。早々に総裁選での安倍首相支持を表明した二階派であるが、それと同時に衆議院解散を匂わせているあたりは、さすが老獪な二階衆議院議員である。

最後に今後の政治のアジェンダを見てみよう。前述したように、7月16日に参議院に送付された関連法案は、60日ルール(59条の1項から4項までの慎重な定め方をみれば、「衆議院での3分の2の賛成での再可決」を憲法はあくまでも「例外」としていることは明らかであり、軽々しくルールと言うべきではなかろう)に基づけば、9月14日以降に衆議院での再議決が可能となる。延長した国会の会期の最終日は、9月27日であるので、衆議院での再可決には、日程的には十分である。実は、この間に自民党の総裁選挙がある。安倍首相の自民党総裁の任期は9月末日である。現在、総裁選は、9月20日に予定されている。

選挙は水ものなので、このまま安倍体制で行くことは、来年の参議院選挙(衆議院とのダブル選挙の可能性もあるが)で、自民党にとって大きなリスクを生む可能性があるが、現在であれば、自民党批判の受け皿としての民主党は復活しないので、現状の安定基盤を持って、安倍政権を交代するのが自民党にとっては戦略的に正しくはないか。これは、自民党政権の安定的維持を望むアメリカの思惑とも一致する。

しかし、今回の総裁選では、安倍総裁の再選が濃厚であると言われている。石破氏を始め、安倍総裁の後継者と目される政治家は、この9月の総裁選で敗れれば、スムースな政権交代は難しい。支持率の低下に歯止めがかからず、「青木の法則」が適応可能になれば、総裁選後であるので政権交代の選択肢は、衆議院の解散しかなかろう。自民党は勝利するであろうが、議席数はかなり減ると予想される。これは、自民党にとって被害が大きいと言える。それを避ける選択肢として考えられるのは、衆議院での再可決を強行したのちに、安倍総理が自発的に退陣すると言うシナリオではなかろうか。 

内閣と自民党支持率が下がる中で、アメリカの意図もあり、歴史修正主義の旗を振り上げることのできない安倍首相にとって、その状況で総理大臣であることの意味は薄れるのではないか。「権力の味は蜜の味」と言うので、自分自身の政治信条よりも総理大臣の椅子の方が魅力的と思ってもおかしくはないのだが、安倍首相には自分の政治信条を大事にしてほしいと思うのは筆者だけであろうか。

後継者として一番に挙げられるのは石破氏であろう。事実、現時点で、石破氏は総裁選出馬には極めて慎重である。出馬をして落選をしなければ傷はつかない。石破氏は、地方創生担当大臣なので、自民党の国内政策第一のアジェンダである地方へ所得分配を強化でき、地方での支持も強いので地方が支持基盤である自民党にとって好ましい後継者と言えよう。

このようなシナリオがあるとすれば、奇しくも安倍首相は祖父と同じ道をたどることになる。安倍首相や自民党がこのように合理的に行動するか、できるかどうかは分からない。政治家は一般的に言って、打算的ではあっても合理的ではないのが常であるので、9月の動向を読者諸兄と見守りたい。

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