世界銀行、2016年世界経済の成長率見通しを2.4%に下方修正

世界銀行は、2016年の世界経済見通しを、今年1月時に予測した2.9%から2.4%へと下方修正した。

一次産品輸出国と輸入国で見通しに大きな差、下振れリスク上昇

世界銀行は、2016年の世界経済見通しを、今年1月時に予測した2.9%から2.4%へと下方修正した。背景には、先進国の成長率低迷、依然として低水準の一次産品価格、世界貿易の低迷、資本フロー縮小がある。

このほど発表された「世界経済見通し(GEP)」の最新版は、一次産品を輸出する新興国と途上国が、原油をはじめとする主要一次産品価格の下落に適応しきれておらず、今回の下方修正の半分はこれに起因すると指摘している。こうした国々の今年の成長率は、年間わずか0.4%にとどまる見通しだが、これは1月時点の見通しから1.2%ポイントの下方修正となる。

一次産品を輸入する新興国と途上国は、輸出国より明るい見通しが続いている。しかし、エネルギーなどの一次産品価格低下の恩恵が具体化されるにはなお時間がかかっている。こうした国々の成長率は、エネルギー価格低下、及び先進国でわずかながらも景気が好転した事で、2016年は、2015年の予測5.9%をわずかに下回る5.8%と見られる。

主要新興国のうち中国の経済成長は、2016年に6.7%と予測される(昨年は6.9%)。また、インドの力強い経済成長は、7.6%で安定して推移すると見られる。他方、ブラジルとロシアはマイナス成長が続き、1月の予測よりもさらに落ち込むであろう。南アフリカの今年の成長率は、0.6%と、1月の予測を0.8%ポイント下回ると見られる。

低金利が続き、最近では資金調達ニーズが高まっている事もあり、民間セクターによる信用取引が大きく拡大しているが、一部の新興国や途上国ではこの点が潜在的なリスクとなっている、と同報告書は指摘する。

成長率が伸び悩む中、世界経済は明白なリスクに直面している。主要な新興国におけるさらなる成長鈍化、金融市場心理の大きな変化、先進国経済の停滞、予想より長引く一次産品価格の低迷、世界各地での地政学的リスク、成長加速を促す金融政策の有効性をめぐる懸念などである。同報告書は、世界経済の見通しに対するリスクを数量化した結果、1月よりもさらに下振れ傾向が強いと結論付けている。

詳細、地域別の概要は、プレスリリース「世界銀行、2016年世界経済の成長率見通しを2.4%に下方修正」をご覧ください。

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