国連広報センター所長の根本かおるです。ニューヨークの国連本部は世界中から見学に訪れる観光名所です。
国連本部の中を見学して回るガイドツアーに参加する人々が集まるビジターズ・ロビーで、国連広報センターが主催する「Spotlight on SDGs」展 が、SDGsについて話し合うハイレベル政治フォーラムが始まる7月10日から1ヶ月間、開催されています。
私はハイレベル政治フォーラムで日本政府がSDGsの実施状況について発表するのにあわせてニューヨークに出張し、同時にセンターが主催するこちらの企画展の様子を見てきました。
これは、昨年行われた「私が見た、持続可能な開発目標(SDGs)」学生フォトコンテストで5つの大陸にわたる47ヶ国から600を超える応募作品が集まり、その中から選ばれた受賞作品15点を中心に構成された企画展です。
写真には国境を越える力があり、世界中の若者たちをつなげる理想的な媒体です。それと同時に、SDGsをテーマに写真を撮るという行為はSDGsについて考えてもらうきっかけとなり、若者を中心とする一般の方々を巻き込むことにつながり、SDGsを推進する力となります。
こうしたことから、国連広報センターでは、コンテスト受賞作品を国連本部で展示し、世界中から集まる見学者に写真展を通じてSDGsを自分事として考え、変革の主体になってもらいたいと考えたのです。
ハイレベル政治フォーラムに参加した World Associaion of the Major Metopolises のリア・ブルムさんも私たちの展示に足を止めてくれた一人です。
「一枚一枚の写真をじっくり見て、撮影者一人一人の思いの説明書きを読んで、人の願いと課題とが直結して表現されていることに大変感銘を受けました。私たちはとかく官僚的なハードルの中で自分を見失いがちですが、写真展は自分の原点を思い起こさせてくれました」と感想を寄せてくださっています。
Spotlight on SDGs企画展が実現した背景には、ニューヨークの国連広報局でビジターズ・ロビーでの展示を担当するメリッサ・ボディニッチさんの協力があります。メリッサが私たちの受け手となって、素晴らしい展示にデザインし、出力して設営してくれたのです。
「世界およそ60ヶ所に国連広報センターがありますが、センターが国連本部でこのように大きな展示を開催することはほとんどありませんよ」とメリッサは語ります。「時間に余裕をもって本部の私たちに相談してくれたので、ハイレベル政治フォーラムとタイミングを合わせて開催することができました」
「写真はいつも人気がありますが、今回の展示は特に学生たちが撮った写真という点で、SDGsを具体的かつ身近な自分事として感じてもらえていると思いますよ」と来場者の反応も上々のようです。
岸田文雄外務大臣が国連の場でSDGsにむけた日本の取り組みを発表した7月17日には、嬉しいサプライズがありました。日本のSDGs発信の盛り上げに国連本部に駆け付けたピコ太郎さんが忙しい合間を縫ってSpotlight on SDGs展に立ち寄ってくださったのです。
ピコ太郎さんは一つ一つの作品に興味津々で、丁寧に見て回ってくださいました。
「これは何?」「ペルーの浜辺で廃タイヤを回収しているボランティアですよ」「えー、詩的な写真だなあと思ったんですけど」「この写真を撮影したペルーの青年は徹底していて、授賞式で日本に来たときもペットボトルが海を汚すと言って、ペットボトルの水は飲みませんでした」
「じゃあこの鹿の写真ははどこで撮ったものだと思いますか?」「日本じゃないですよね」「いえいえ、広島県の宮島で、対岸は広島ですよ」などと私から説明しながらご覧いただきました。
「こうやって説明して見て回れると、理解が深まりますね。SDGsのコンセプトを伝える上で、ビジュアルの力って大きいですね」とピコ太郎さん。
視察中もいろいろな人から声をかけられ、気さくに写真撮影に応じていらっしゃいました。ピコ太郎さんの国境を越える力、ハンパないです。
国連ニュースセンターの取材に、「We have your love, we have your power, UN..., SDGs!」と答えてくださったピコ太郎さん。いずれは外国を訪問した際に、恵まれない環境にある子どもたちに対して笑いを、平和を届けたいと抱負を語ってくださいました。
7月17日が誕生日というピコ太郎さんにとっても、国連の私たちにとっても、思い出に残る日となり、ピコ太郎さんはSDGsの17の目標の「17」を指で作ったポーズを広めてくださいました。
SDGs学生フォトコンテスト は今年も開催し、現在作品を募集中です。締め切りは8月30日。あなたの足元のSDGsに目を向けて写真におさめ、どうぞ奮ってご応募ください!