国連PKOの性的搾取との闘い

「性的搾取と虐待」との闘いは、人権を求める闘いです。被害者に虐待と疎外の二重苦を被害者に経験させてはなりません。

日本の自衛隊は1992年から国連のPKO活動に参加していますが、性的搾取・性的暴力の事案を一件も出していないPKO参加国の一つです。日本の自衛隊の規律は国連で高く評価されています。

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寄稿:パルフェ・オナンガ・アニャンガ 中央アフリカ担当国連事務総長特別代表

私はほんの数日前、私が率いる「国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)」の平和維持要員について、再び恐ろしい疑惑が持ち上がったことを耳にしました。

報道によると、平和維持要員には、広大な国土の中部の遠隔地にある小さな町で、14歳の少女をレイプした嫌疑がかけられていました。

私がこの極めてショッキングなニュースへの対応を図ろうとした矢先、今度は2014年と2015年に遡る新たな一連の疑惑が持ち上がったことを、国連児童基金(UNICEF)国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の同僚から聞かされました。

こうした恐ろしい疑惑を知ったときに私が感じた苦痛は、どのような強い言葉でも言い表せません。

このような恐怖に直面し、私は個人的にも深い失望と怒りの気持ちを抑えることができません。MINUSCAと国連本部にいる私の同僚も、全く同じ気持ちでいます。

しかし、この惨劇がどれほど恐ろしいものであろうとも、自分のミッションでこれに終止符を打つことは私の仕事です。その問題から目をそらすという選択肢はなく、私はその対応に全力を尽くす決意を固めています。

私たちは、すべての実行犯が特定され、被害者が受けるべきケアをすべて受け、そしておそらく何よりも重要なこととして、責任者が裁かれることを確実にするまで、取り組みを続けなければならないのです。

2015年8月下旬にこのミッションに加わって以来、私は自分自身とMINUSCAに対し、透明性と説明責任という方針を徹底してきました。

私はキャンプからキャンプへ、そして町から町へと国内を数千キロにわたって巡回し、性的搾取と虐待(SEA)を絶対に許さないという厳しいメッセージを改めて伝えるとともに、制服組か文民かを問わず、すべての国連要員に対して、中央アフリカ共和国の人々を守るという私たちの義務を確認してきました。

この旅の中で、私たちは武装集団によるものに加え、国連、非国連を問わず国際的平和維持要員による性的暴力を受けた被害者の家族にお会いするという、つらい経験を何度か積んできました。

私が光栄にも率いているミッションが、すべての国連平和維持ミッションの中でSEAを最も多く引き起こしているという事実にひどく落胆しながらも、私は被害者や中央アフリカの国民、国家当局、さらには国連加盟国から、この重要な問題への対策についてMINUSCAが取った厳格な姿勢を評価する声を聞き、勇気づけられてきました。

この対策は集団的な取り組みとなります。

私はここ数週間、国連安全保障理事会が3月11日、国連平和維持活動からSEAを根絶するための事務総長の強力なリーダーシップを全面的に支援する決議2272(2016)を採択したことを心強く感じていました。

この新たな決議によれば、兵員または警察官の提供国(TCC/PCC)が6カ月の間に自国の容疑者を訴追しない場合、事務総長はその全部隊を帰還させる権限を与えられます。この権限は最近、コンゴ民主共和国とコンゴ共和国から派遣された部隊について行使されました。

また、SEAとの闘いでさらに効果的なインパクトを期待できる最近の策として、事務総長は2月8日、平和維持要員による性的虐待と搾取への国連の対応改善を担当する特使として、ジェーン・ホール・ルート氏を任命しました。

私としても、SEAとの闘いを私たちのミッションの最優先課題に加えています。

SEAタスクフォースも設置されました。MINUSCAの兵員と警察官はMINUSCAキャンプ周辺をパトロールし、非番中の制服要員の行動を監視しています。私の直接のリーダーシップにより、MINUSCAの3つの地域本部と、兵員の数が多いその他3カ所のフィールド事務所には、地域SEA合同予防チームが設置されているところです。

これらはいずれも、正しい方向への一歩といえますが、トンネルの先に光が見えるまでには、まだしばらく暗黒の日々が続く可能性もあります。

とりわけ、私たちの取り組みの中心には被害者を置かなければなりません。

私たちは緊急支援を提供する一方で、人権高等弁務官事務所、UNICEF、国連人口基金(UNFPA)、マーシー・コーその他、国連内外の事務所や機関と密接に連携して長期的支援を図ることにより、被害者のケアを特に重んじています。

私たちの活動現場が置かれた厳しい状況を考慮すると、この目標達成への道が険しいものとなることは認識していますが、それでも私たちは、この闘いに引き続き全力で取り組んでいます。

私はミッションの兵員や警察官との会話でも、現地住民の代表との会話でも、沈黙の日々はもう終わりであり、前へ出て、立ち上がるべき時が来たということを明らかにしています。

被害者の人権を最優先させる時が来たのです。SEAとの闘いは何よりも、人権を求める闘いです。暴行を受けた末に、文化的な汚名を永遠に着せられ、自らのコミュニティーから排斥される恐ろしい苦痛に耐えるという、虐待と疎外の二重苦を被害者に経験させてはなりません。

この国で、ちょうど私の娘エリワと同い年の14歳の子どもが、再び性的搾取や虐待を受けることのないよう、私はあらゆる女性、そして女児、男児を問わず、あらゆる子どものために、この闘いを続けていきます。

関連資料:

総会決議

(この記事は『ニューズウィーク』誌に掲載されたものです)

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