私がインターンをしていたGUCCIは1921年創業、あと約5年で創業から100年を迎えます。
学生時代、GUCCIで働いた経験から、エルメスやヴィトンもそうであるように、ブランドは「ものづくり」から生まれること、そして100年ほど「永続性」が必要であることを感じておりました。
このときと同じような感情を、四国・香川県の小豆島にある「株式会社タカラ」を訪ねたときにも抱きました。
「ものづくりは、人づくり」という人間教育を原点とした工場で、小豆島にはソーイング工場と服飾の専門学校が併設されています。まさに、ものづくりの永続性を体現していました。
工場の隣に併設された寮(上)と専門学校(下)
全寮制で現在80名が寮で生活されているそう(3年目に自動的に社員となれる仕組み)で、2年間は働きながら勉強されているようです。
洋裁学校を原点に持つ伝統ある教育カリキュラムに、世界有数のモデリスト養成校「セコリ」のパターン技術も取り入れた教育体制で、3年目には国家資格である洋裁技能士2級に、ほぼ全員が合格。青年技術者を支援する目的で作られた「技能オリンピック全国大会」では優勝者を輩出しているそうです。
こうした教育機関を設けることで、未来の働き手を育成することにもつながっており、縫製現場で働く方の平均年齢は24歳という若さ。もちろん、海外研修生は一人もいません。
アパレル工場だけでなく服飾系の専門学校で学ぶ学生も減少し続けているアパレル業界において、株式会社タカラの「学ぶ×働く」が直結するこの取り組みは、工場の活性化だけでなく働く人のモチベーション向上やそこで働くことに対して愛着や誇りを持ちやすくなること、企業の永続性にもつながり、今後の業界成長におけるヒントとなるのではないでしょうか。
世界有数の技術を持っている日本のアパレル工場は全国に数多くありますが、若手の採用に苦戦している工場は少なくありません。少しでも良い事例を共有し、永続的なものづくりができる環境の一助となればと考えています。
これから、100年以上続くメイドインジャパンのファクトリーブランドが現れる日を夢みて。