フォルケホイスコーレってご存知ですか?
デンマーク発祥で、大人になっても学ぶことができる、生涯学習のための学校です。1844年に、デンマークで初めてのフォルケホイスコーレが設立されました。
フォルケホイスコーレ創設の立役者の最も重要な人物の一人、「近代デンマーク精神の父」とも呼ばれるN.F.S. グルントヴィは、1848年に絶対王政が終焉を迎えた翌年1849年に制定されることになるデンマーク初の憲法と民主化を鑑みて、これからは、国民が正しく国のありようを判断できるだけの知恵と知識が必要であり、そのためには「生きた言葉」の教育が必要だと考えました。ラテン語ではなくデンマーク語で、また、教師が一方的に教えるのではなく、その場に集うものは皆同じ目線に立って対話し、それを自己の啓蒙と学びの場とする、その教育をフォルケホイスコーレで行うことにしたのです。
現在、デンマーク国内には70校近くのフォルケホイスコーレがあり、義務教育を終了した17.5歳以上の人なら、年齢、性別、障害の有無、国籍などに関わりなく、誰でも入学することがで きます。ただし、試験や評価はなく、この学校に通ったからといって資格や学位が取れるわけではありません。
それでも、フォルケホイスコーレで学ぶ意義とは、普段の生活の中で、なかなかじっくり取り組んだり考えたりすることができないテーマについて、寄宿舎制の学びの場で、講師と学生が対等な立場という環境で、食住をともにしながら、ゆっくり考えたり議論したり取り組んだりできることにあります。それが、「人生の学校」と呼ばれる所以です。
現在、私は仲間たちと共に、このフォルケホイスコーレのインターナショナル版を、ロラン島に開校する準備をしています。2019年の開校を目指し、今年の夏は、手始めに日本人とデンマーク人を対象に、3週間のサマースクールを開校します。
期間は、2017年7月23日〜8月12日までの3週間。
私たちが開校するサマースクールでは、3週間の間"Common Challenges, Common Solutions"という大きなテーマを掲げ、それぞれ1週間ごとに課題となるテーマを設定しています。講義やワークショップはすべて英語で行い、受講スタイルは、3週間続けてとることも、1週間ずつとることもできるようになっています。対象は、日本人とデンマーク人で、各週合計50名ずつ(日本人とデンマーク人がほぼ半分ずつくらいの割合)を考えています。
1週目は"Eating for Tomorrow"ということで、農業と食とガストロノミーがテーマ。これから、人はどのように食べ物を作り、何をどのように食べ、どう健康になり、どうやって全世界の人たちが飢えることなく食べていくことができるのか、そういったことについて、議論します。
2週目は"Producing for Tomorrow"というテーマで、地域資源をどのように活かしながら、再生可能エネルギーを生産し、持続可能な地域社会を築いていくか、そのために、テクノロジーはいかに活用されるべきか、ということについて議論します。
3週目は"Educating for Tomorrow"というテーマで、これから、民主主義社会で活躍できる市民を育てるためには、また、持続可能な社会を築いていくためには、それぞれの過程でどのような教育が必要になっていくのだろうか、ということについて議論をします。
すべての週で、それぞれの分野の専門家を招いて特別講義を行ったり、何回かのワークショップをすることによって、各々が疑問に思っていること、モヤモヤしていることをクリアにしていくプロセスを経て、課題解決の糸口をさぐります。
なぜ、このようなテーマを選んだかというと、ロラン島が、農業、再生可能エネルギー、教育に関して、デンマーク国内でも先進的な取り組みを続けてきており、その知見をぜひ国内外で活かしたい、と考えたこと、また、過去10年ほど、日本からたくさんのスタディツアーや研修ツアーをお迎えしている中で、私たちが向き合っている課題やテーマは、高齢化社会、気候変動適応、食糧自給、エネルギー安全保障、平和で持続可能な社会づくりなど、日本とデンマークで共通のものも多く、それなら、一緒に解決策を導き出すことができるのではないか、日本とデンマークの歴史と智慧、それに新しい視点をすり合わせれば、より高いシナジー効果が生まれるのではないか、と考えたからです。
自然豊かなロラン島で、美しい季節に、こうしたことをゆったりと学ぶのは、きっと誰にとっても忘れがたい、そして、これからの人生のための何らかの道標になる体験になると思います。また、サマースクール受講期間中は全宿泊と3食付きで、通常デンマークに滞在するよりも、価格もとても魅力的な設定になっていますし、既存のツアーとは全く違う、濃い体験ができることでしょう。
お申し込み、お問い合わせは、直接ウェブサイトへお寄せいただくか、(有)リボーン〈エコツーリズム・ネットワーク〉までお願いします。
みなさんの参加を、心よりお待ちしています!!!
この夏は、ロラン島でお会いしましょう(^_^)/