メガ幸子を復活させ和田アキ子を襲った、芸能界の「外の世界」

今まで、芸能人が芸能界のえらい人の機嫌を損ねて干されたら、それで終了でした。過去にどれだけの芸能人が、人知れず消えていったことでしょう。しかし今は...

「メガ幸子、キターーーーーーー(゜∀゜)ーーーー!」

2015年12月31日カンボジアから、2年連続で紅白をほぼフルで見ました。

日本の音楽番組どころか、テレビ番組をみるのも久々なので新鮮ではあったのですが、そのステージ以上に興味深かったのが、小林幸子と和田アキ子の紅白前後のストーリーでした。

小林幸子は、事務所関係の問題で芸能界を干され、紅白連続出場が途絶えていました。

しかし、近年、ニコニコ動画などに動画をアップしていたらネットで人気になり、今回、メガ幸子として紅白復帰。綾瀬はるかに「ラスボス」と紹介され、ニコニコ動画風の演出で、ボーカロイドの曲を歌っていました。

このステージの様子は、tweet数では嵐をも上回り、ニコニコ動画には29万件もの応援コメントかが届き、小林幸子が多くの(ネット上の)人に支持されていることが証明されました。

■メガ幸子を救った「外の世界」

今まで、芸能人が芸能界のえらい人の機嫌を損ねて干されたら、それで、終了でした。過去にどれだけの芸能人が、人知れず消えていったことでしょう。

しかし、今は「芸能界のえらい人」の権力が届かない「外の世界」=インターネットの世界ができました。

ここでは、芸能事務所や広告代理店とは関係なく、自分で番組を持つことができます。そして、視聴者と直接会話をしてその番組を盛り上げることができます。お客様と直接触れあい、楽しんでもらうことができれば、そこでお金を稼ぐことができるのです。

これは、画期的なことです。

例えるなら、小学校でいじめられても、塾やサッカーチームなどの居場所があるのと同じこと。ひとつの所で失敗しても再チャレンジすることがあり、新しい場所で支持されればそこに居場所ができ、うまくいけば前の場所でも復活ができる。非常に素晴らしいことだと思います。

このインターネットの世界での小林幸子のサクセスストーリーと逆なのが、和田アキ子です。

彼女は、紅白の中で一応前半のトリみたいな場所にいましたが、まあ、実際地味で、たいして目立ってもいませんでした。

ネットの記事によると、どうやらメンタルをくずしているようで、実際本人がtwitterで「いろんな事の不安とかプレッシャーで心と、頭のバランスが、悪くなりました」と発言しており、体調的によろしくないようです。

■和田アキ子を襲った「外の世界」

この原因は今年始めたtwitterではないかといわれています。

彼女は、芸能界の真ん中でのさばるジャイアンであり、彼女が出ているテレビ番組はおしなべて彼女の接待番組の様相を呈していました。

そんな彼女が突如twitterを始めたのが、2015年の9月でした。この頃発売したニューアルバムのプロモーション用です。

twitterでファンと直接触れるのは素晴らしいことなのですが、同時にアンチとも接触することになります。実際、彼女のtwitterアカウントで検索すると、メンションがついているtweetのうち、8割方は応援のメッセージなのですが、2割程度、否定的なものがあります。

「紅白辞退しろ」「早く番組打ち切りになれ」「何十年もヒット曲ないくせに」「ニッポンのガンです」「ももクロがでれないのはお前のせいだ」「xx人アキ夫はxxに帰れ」など、罵詈雑言が彼女の目につくように投稿されています。わざわざ、「なぜ紅白歌合戦に出るのかと思う歌手ランキング 和田アキ子が1位」なんて記事を貼り付けているtweetもあります。

この様な誹謗中傷は、慣れてくればどうってことないのですが、最初のうちはなかなかこたえます。大きな舞台などのプレッシャーとあわせて、心にダメージを与えるものだということは、経験者なら納得できると思います。

実際に、2015年に出した新曲「晴レルヤ」もオリコン50位にも入らない売上であり、紅白で歌うことになったのは懐メロの「笑って許して」

twitterの中傷もあながち的外れでないことが、さらに精神へのダメージとして蓄積されていきそうです。

■ネオアキ子、でてこいや!

これは、芸能界の「中の世界」でちやほやされていた彼女が「外の世界」=インターネットの世界に触れてしまったがために、「中の世界」での自分の評価とは真逆の、厳しい現実を知ってしまったから起こった試練だと思います。

私は、良くも悪くも、こういう「外の世界」が存在することは非常に重要だと思います。

負けてしまった人のワンスアゲインにも、調子こいてる人への冷や水ぶっかけにもなる、もう一つの世界。それが、「中の世界」の権化である紅白歌合戦にまで影響を及ぼしていることに、時代の進化を感じます。

「外の世界」での体験は、小林幸子さんのように、新たな世界で成功をする人もいますし、和田アキ子さんのように試練になる場合もあります。しかし、たとえ、一時的に試練になったとしても、世界が広がるということは、できることが広がるという結果をもたらします。和田アキ子さんも、芸能界というタフな世界でのし上がってきた人です。この程度の誹謗中傷は「中の世界」でも無数に受けているはずです。それを「笑って許して」とはねのけてきたことが、彼女の今の地位を築いているのです。

だから、この状況を逆手にとり、炎上を追い風に、ネットで直接つながったファンを巻き込んだ新しい芸風をまとって、「ネオアキ子」として、21世紀に新たなヒット曲を作ってほしいです。そして、いつの日か、懐メロ枠ではない形で、紅白に出場してくれたら素晴らしいなと思います。

じゃ、そういうことで。

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