オリンピックは大丈夫なのか? 7

一般財団法人自治体国際化協会ロンドン事務所JLGC(Japan Local Government Centre)Council of Local Authorities for International Relations(CLAIR, London)ロンドンオリンピック施設の1年後についてのレポートが下記にあります。

一般財団法人自治体国際化協会ロンドン事務所

JLGC(Japan Local Government Centre)

Council of Local Authorities for International Relations(CLAIR, London)

ロンドンオリンピック施設の1年後についてのレポートが下記にあります。

http://www.jlgc.org.uk/jp/information/monthly/uk_oct_2013_01.pdf

「ロンドン・オリンピックでオリンピック・パーク内に建設された競技場とそれらの大会後の利用」より抜粋しますと

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バスケットボール・アリーナ 

ロンドン・オリンピックのためのみに建設された仮設競技場。撤去して再利用可能。既に撤去され、現在売却先を探している。

カッパー・ボックス

ハンドボール、フェンシング等の競技場として使用された。2013年7月に再オープンした。再オープン後は、バスケットボール、バドミントン、ハンドボールの競技場になっており、スポーツ大会の会場としての使用も可能。

イートン・マナー

もともとは名門パブリックスクールであるイートン校の卒業生が創設したスポーツ・センターであったが、2001年以降使われていなかったところ、ロンドン・オリンピックで競技場として再利用された。2014~2016年の車椅子テニス選手権、2015年の欧州ホッケー選手権の会場として使用される。

リバーバンク・アリーナ

再利用可能な仮設のホッケー競技場として建設された。既に取り壊され、前述の「イートン・マナー」に移された。

ベロパーク

トラックレース用自転車競技場「ベロドローム(Velodrome)」は、環境に配慮したエネルギー効率性の高い設計になっており、建築・設計に関する多くの賞を受賞している。オリンピック後は、リー・バレー地域公園局が所有・運営している。2016年UCIトラック世界選手権の会場として使用される。

アクアティクス・センター

客席17,500席のうちの15,000席とトイレは、「ビニループ(Vinyloop)」と呼ばれるポリ塩化ビニルのリサイクルシステムを使ってリサイクルされた。

ウォーター・ポロ・アリーナ

水球用の仮設会場として建設された。前述の「ビニループ」と呼ばれるシステムを使って再利用が可能。既に撤去済。

オリンピック・スタジアム

オリンピック後に観客席を縮小できる設計で建設された。スタジアムの外周を覆っていた「ラップ(wrap)」8と呼ばれる飾り付けは、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックを含むイベントでの使用に供するため既に売却された。

2016年に再オープンの予定。同年より99年間、イングランドのプレミアリーグのサッカーチーム「ウェストハム・ユナイテッド」が、同スタジアムの主たるテナント(anchor tenant)となり、本拠地として使用する。

さらに、「英国陸上競技連盟(UK Athletics)」は、2016年から50年間の毎年6月末から7月末まで同スタジアムのトラックを使用する権利を獲得している。

正式な再オープン前の2015年秋、ラグビー世界杯の会場として使われることが決まっているほか、2017年の世界陸上競技選手権大会の会場として使用される。

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また、馬術競技がおこなわれたグリニッジパークでは日本人建築家も活躍しています。

グリニッジパークといえば、こんな敷地です。

ここに恒久的な建築を建てるのはちょっと問題ですよね。

オリンピックで馬術競技は無事行われたあとは撤去されました。

それが可能なのは、それこそお祭りと同じように仮設だったからです。

日本の祭りの竹やぐらのようにパイプを使って2万人収容の施設を設計・監理された山嵜一也さんのレポートが以下にあります。

今の東京オリンピック施設で起きている諸問題のグダグダと比較してみると、再利用とか仮設とかリサイクルとかの施設が多いと思いません?

アイドルのコンサート利用でペイしますたぶん、とか芝生が生えるかどうかわからないんですけど、きっと生えるでしょう、とか、建設費がいくらになるかどうかわからないんですが建てるしかないんです、とかと違って、ちゃんとした大人の対応ですよね。

5万5000席を取り外すことも検討してあったオリンピックスタジアムは結局取り外さなくなりました。

再改造して球技場と陸上競技場の併用が決まったからです。

ということで、オリンピックスタジアムはプレミアリーグの地元チーム「ウェストハム・ユナイテッドFC」のホームグラウンドになりました。

「プレミアリーグ」と聞いてサッカーファンの方々でしたらよく御存知と思うのですが、現在世界最高峰のサッカーリーグのひとつです。

ヨーロッパでは現在のようなサッカー競技について150年以上の歴史があります。

そのスタートはイギリスのロンドンだったのですが、各国にプロサッカーチームが生まれ国ごとに、サッカーのリーグ戦をおこなうようになったのです。

「セリエA」はイタリアの1部リーグですし、「リーガ・エスパニョーラ」はスペインの1部リーグです。

日本はご存じ「Jリーグ」ですね。

「プレミアリーグ」と聞くと一般名詞として、それら各国のトップディビジョンを指しているように思えますが違います。

「プレミアリーグ」はイギリスのリーグなのです。

イギリスのフットボールリーグは1980年代ごろから低迷し、施設の老朽化やフーリガンの事件など様々な問題を抱えていたのですが、サッチャー政権時代にテコ入れがなされ、1992年にそれまでのフットボールリーグの1部リーグから新たなFAプレミアリーグが組成され、放映権やスポンサー契約も可能になり、運営も成功することで、イギリスフットボールリーグの再生に成功し今に至っています。

イギリスにおけるサッカーの1stディビジョンがプレミアリーグなのです。

そのプレミアリーグに所属するウェストハム・ユナイテッドFCのホームとして、スタンドの一部を改修し5万4000席をキープするとともに、以下の機能が盛り込まれました。

サッカー試合時にスタンドがピッチに近づく機構を設計していました。

そんなにうまくいくのかな、と思っていましたら、うまくいったようですね。

ということでロンドンオリンピックの諸施設をみてきたわけですが、

そもそもこの今回のオリンピックのメイン会場となった地域はイーストエンドロンドンと呼ばれ、開発が遅れていたロンドンの下町です。

かつては過密で住宅事情も悪く1900年頃には単純労働に従事せざるを得ない貧困層と移民の街でした。

20世紀にはドック、工場、鉄道を始め工業地帯となっていましたが、第二次世界大戦中はドイツ軍の攻撃目標地点ともなり、その後も荒廃が続いていたそんな街です。

(2014年11月17日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)

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