今日(9月24日)、ニューヨーク株式市場が引けた後で連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長がマサチューセッツ大学アマースト校でスピーチしました。
そのスピーチの中でイエレン議長は年内に利上げする決意を再確認しました。
これは(ひょっとすると年内の利上げはムリだろうし、来年もずっと利上げできないのでは?)と考えていた市場参加者にとって、痛撃を与えたカタチになります。
イエレン議長の「お仕置き」の愛のムチが打ち込まれたわけです。
年内に利上げする理由としてイエレン議長は経済の「たるみ」が無くなったからと説明しています。
市場参加者には正直、そのようなインフレ・プレッシャーが実感できません。
イエレン議長は「それは今、たまたまドル高と原油安がおきているからだ」としています。でも今後ドル安、原油高になると、とたんにインフレ・プレッシャーが感じられるようになるというわけです。
FRBは、それに先回りする必要があるわけです。
またゼロ金利を続けると、横着なリスクテーキングを助長しかねないということも指摘しています。
今回のスピーチは、FRB議長というより、経済学者、ないしは研究者としてのイエレン議長の考え方を色濃く反映したものとなっており、普段より彼女の個人的な信条が滲み出ている気がします。
ここからは僕のドタ勘ですが、目先、利上げを予想していなかったトレーダーはドルを買い戻すと思われます。しかし利上げとなると、またぞろ新興国や中国に不安が走るので、株式市場が開いた後はリスクオフに大きく振れる可能性も排除できません。
折角、(そろそろ落ち着いたかしら?)と思っていた投資家は、意外なタイミングで「お尻ぺちぺち」されたので、ちょっとビックリするかもしれません。
PS スピーチが余りに長かった(40ページ)ので、イエレン議長は最後の方で脱水症状になりました。その場で医師の診察を受けましたが、大丈夫だった模様。晩餐会には予定通り出席したそうです。
(2015年9月25日「Market Hack」より転載)