先進国の裕福層上位1%への富の集中の歴史を示す4枚のチャートを掲げておきます。
まずドイツです。
1914年の第一次大戦の前の上位1%への富の集中度は17%前後であり、格差は激しかったと言えます。でも他国でもその事情は同じであり、特にドイツだけが突出していたわけではありません。
戦争が始まると、富の集中は一度加速します。しかし終戦とともに格差は急激に低下します。再びドイツで格差が急激に拡大しはじめるのは、資本家がヒトラー政権と手を結び、富国強兵政策を採った時期です。
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第二次大戦以降のドイツは貧富の差が比較的小さいです。
次は日本です。
太平洋戦争の前までは、日本は世界でも最も格差が大きい国のひとつでした。財閥による寡占などにその原因を求めることができるかも知れません。
太平洋戦争後はGHQによる預金封鎖、財閥解体などを経て、こんにちまで格差の小さい社会が続いています。
アメリカは1929年の株式市場の大暴落までは他国同様比較的格差が大きかったです。
第二次世界大戦後は格差が小さかったです。1980年代にレーガン大統領が登場して以降、裕福層の優遇策が支持され、現在でも基本、その価値観が堅持されています。
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英国も第二次大戦までは他国同様、格差が大きかったです。
しかし第二次大戦以降、長い経済の低迷期に格差は是正されてゆきます。サッチャー首相が登場した頃を境に英国経済は構造転換を図り、金融をはじめとした業界の優遇策が採られ、格差は拡大しはじめます。リーマンショック後、少し格差は縮小しましたが、基本的にはアメリカ同様、裕福層を優遇する政策が堅持されています。
(2015年2月15日「Market Hack」より転載)