日本はどこから石油を買っているか?

3月3日に衆議院予算委員会で民主党の枝野幸男幹事長が(ホルムズ海峡が封鎖されたような場合は)「中東以外のところからも石油は取れる」と発言し、話題になりました。そこで日本のエネルギー事情を簡単に振り返っておきましょう。

3月3日に衆議院予算委員会で民主党の枝野幸男幹事長が(ホルムズ海峡が封鎖されたような場合は)「中東以外のところからも石油は取れる」と発言し、話題になりました。

そこで日本のエネルギー事情を簡単に振り返っておきましょう。

まず日本の一次(プライマリー)エネルギー消費の内訳は、下のパイチャートのようになっています。

このうち石油、石炭、天然ガスの消費の一部は発電所を動かすために使われています。

日本はエネルギーの91%を輸入に頼っています。この輸入依存比率は福島第一発電所の事故以前の80%から上昇しています。その理由は原発を止めたからです。

東日本大震災が起こる前、日本は発電の27%を原子力に頼っていました。原子力は日本にとって最もロー・コストな発電方法です。

原子力発電所の大半が止まってしまったことで、福島の事故後、日本のエネルギー買い付けに要した費用は過去3年間で32兆円(+58%)増えました

このことも引き金のひとつとなり2010年に7.78兆円の貿易黒字だった日本の収支は2013年には13.4兆円の貿易赤字に転落します。

だから最近の原油価格の急落は、日本にとって本当に幸運でした。

日本は下のような国々から石油を買っています。ホルムズ海峡を経由しない分は全体の19%に過ぎず、後は全てホルムズ海峡を経由します。

次に日本の天然ガスは下に見る各国から輸入されています。ほぼ3割がホルムズ海峡経由です。

天然ガスはパイプライン、若しくはLNG(液化天然ガス)のかたちで輸出されます。日本は海に囲まれているのでLNG船によって輸入するのが普通です。その関係で、世界のLNGのうち37%は日本向けです。当然、LNGでは世界最大の消費国です

ここからは私見ですが、日本は上に見るようにエネルギーを外国に頼っている以上、常に供給源の多角化を目指す必要に駆られています。ひとつの国だけと仲良くしても、駄目なのです。石油や天然ガスの輸出国同士を常に競争させ、なるべく安く買い叩くことで、エネルギーのコストをさげないといけません(=日本は、これがとても下手)。

メタンハイドレートとかも「夢」としてはいいけれど、コスト的にまるっきりソロバンに合わないし、それをやれば国が確実に破産します。

我々に今、必要なのは冷徹なリアリズムであり、ソロバンです。

(2015年3月4日「Market Hack」より転載)

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