LINEが上場先として東証だけではなく米国も視野に入れ、幹事の選定に入っているらしいです。
新規株式公開(IPO)は未だその会社の存在を知らない潜在顧客や未来のユーザーに自社を知ってもらう絶好のチャンスです。
だから上場先にどの市場を選定するかは、その企業の野望の大きさを正直に反映します。言わば「本音が出る」というわけ。
どんなにグローバル云々を声高に主張していても、日本にしか上場していないのなら、その企業は英文でディスクロージャーをし、グローバルな株主ベースに働きかけてゆく決意の無い、ただのローカル企業です。
幹事にどの投資銀行を選ぶか? はその案件のクオリティーを如実に表します。売り出し目論見書に並んでいる幹事団の名前と、その順序を一瞥しただけで、その企業のIPOを巡ってどれだけ熾烈な幹事獲得競争が繰り広げられたかを窺い知ることが出来るし、ダサい名前が混じっていると経営者のファイナンスに関する知識の欠如が露呈し、そもそもIPO自体が売りにくくなってしまいます。
最近のソーシャルメディア系のIPOを振り返ると、幹事構成はこうでした:
ツイッター
主幹事:ゴールドマンサックス
副主幹事:モルガンスタンレー
副主幹事:JPモルガン
副主幹事:メリルリンチ
副主幹事:ドイチェバンク
コ・マネージャー:アレン、コード・アドバイザーズ
フェイスブック
主幹事:モルガンスタンレー
副主幹事:JPモルガン
副主幹事:ゴールドマンサックス
コ・マネージャー:メリルリンチ、バークレイズ、アレン、シティ、クレディスイス、ドイチェバンク、RBCキャピタル、ウエルズファーゴ
テック系引受業者としてのブランドの良さを順位づけすれば:
1位 モルガンスタンレー
2位 ゴールドマンサックス
3位 JPモルガン
あたりでしょう。最低でもこれらの投資銀行のうちひとつが主幹事を務めなければ、「このIPOは何か問題アリ」という疑念を投資家に与えます。
東証と米国に同時上場するなら、グローバル・コーディネーターは当然、外資の証券会社になります。日本国内での売り出しは野村が幹事で良いでしょう。
細かい話をすれば、上場後も継続してリサーチしてもらえるためには、「ブティック」と呼ばれる、成長企業に特化した小さい証券会社を噛ましておくべき。具体的にはアレン、コード・アドバイザーズ、パイパージャフリー、スタイフェルなどになります。
(2014年6月3日「Market Hack」より転載)