イギリスには「20%・5%・0%」の3種類の消費税率があります。その分類の複雑さは尋常でなく、この国の住人でさえ、すべてを把握していません。
例えば、ほぼすべての商品・食料品等が消費税20%の中で、なぜか「ケーキ」だけは消費税0%です。
それゆえに、「ビスケットにしか見えない商品」を「ケーキ」という商品名で売っていた大手製菓会社が、数億円に及ぶ税金を巡り、国から訴えられました。
この裁判ではまず、「ケーキは時間が経てば固くなり、ビスケットは柔らかくなる」と言う定義が定められました。
その結果、この商品は製菓会社側の主張通り、「形はビスケットだが、定義上はケーキ」ということとなり、製菓会社側の勝訴で決着しました。
そして、「衣類」も通常は消費税20%ですが、子供服・ベビー服は0%になります。イギリスの子ども服の定義が「義務教育中(16歳まで)」なので、女児は身長166㎝、男児は176㎝のサイズまで消費税率0%で購入できます。ゆえに、しばしば私も自分用に、女児の衣類を購入しています。
ご紹介したこれらは、「いかに税金を逃れ、商品を安く売る事が出来るか」という企業側の戦略なのですが、消費者側としてはありがたいものです。
消費税が0%のものには、薬・切手・本・葬儀代などがあり、5%のものは、禁煙グッズや生理用品、電気・ガス代なども対象となっています。こんなややこしい消費税率のシステムでも、一般の消費者たちが別段文句を言わないのは、商品の値段に消費税が加算されて表示されているからです。
ゆえに、消費者たちは税率のことなど、さほど考えることなく、その商品に見合ったおカネを支払っているだけなのです。
そんな買い物に慣れた夫が10年前、一人で東京へ行ったときのこと。フラリと立ち寄ったコンビニで、100円のお菓子に100円を支払ったら、店員に苦笑いをされたそうです。
よほど恥ずかしかったのか、日本のシステムに苛立ったのかは定かではありませんが、夫はこの消費税事件についてブチブチと文句を言いました。
最近では、日本でも税抜きと税込みの両方の金額を明記して売っているお店が増えたみたいですが、これは外国人観光客には本当にありがたいものだと思います。
(終わり)
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