スコットランドでは、5歳になった夏から小学校に入ります。
長女のチハナが小学校に入学する年、私は夫に聞きました。
「学習机はいつ買う?」
すると、夫は目を丸くしました。
「......そんなのいりマスカ?」
私は全く乗り気でない夫にいささか動揺しました。
「ええ? 日本では小学校に入る時、ランドセル・学習机をいの一番に準備する。学習机がないと、娘はいったいどこで勉強するんだ?」
すると、夫は涼しい顔でこう言いました。
その衝撃告白に、私は思わずたじろぎました。
『ベッドの上で、一体どのように勉強が出来るんだ?寝転がって? いや、座ってか?』
脳裏を巡るクエスチョンマーク。しかし同時に、しばしば洋画等でそのようなシーンを見た覚えがある事を思い出しました。
そう、ティーンエイジャーが、ベッドに横たわり、ポテトチップスを頬張りながら本を読んだり、ノートを取っているシーン......
思えば、義実家で同居してた頃、当時高校生だった義妹の部屋にも、やはり学習机はなく、大学生だった義弟の部屋にも、パソコンデスクしかありませんでした。
国が変われば勉強の仕方も変わるものです......
私は自分自身が幼き頃、両親に買ってもらった学習机に思いを馳せました。
この機能的な机を当たり前だと思っているのは、日本人だけなのかも知れません。
その後も学習机を購入することがないまま、娘2人は小学校生活を終えました。
宿題はもっぱらダイニングテーブルでやっていたのですが、そのせいで気軽に宿題を見てあげることも出来たので、そう悪いものではないなと思います。
そして、中学入学――
さすがに、ひとりで勉強せねばならない時期に突入しました。
学習机のない環境をもっとも危惧していた私の両親が、入学祝いとして娘たちに「机代」をプレゼントしてくれました。
こちらには「学習机」のような機能的なものがないため、結果、限りなくドレッサーに近いデスクを娘たちに購入しました。
次女・モモカは毎日デスクに向かっていますが、長女・チハナは未だリビングで勉強しています。
落ち着いて勉強できる場所は、人それぞれなのでしょう......。
家具つながりでの余談ですが、夫は私の奈良の伯母の家に行った時、初めて「掘り炬燵」を目の当たりにし、激しく動揺。皆の入り方・座り方を観察しながら、慎重に足を入れていました――
(終わり)
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