あれは、こもたろがまだ3歳の頃のことです。
兵庫県に住んでいる母(子供たちからしたらお婆ちゃん)が、私たちの住まいがある千葉県に来てくれました。数日千葉で過ごし、いよいよ兵庫へ帰る日。みんなで東京駅へ見送りに行きました。
お婆ちゃんが大好きなこもたろ。私たち親子は新幹線の入場券を買い、ホームまでお婆ちゃんを見送りに行きました。そして発車時刻になり、お婆ちゃんとの別れ。
その後、こもたろはパニックを起こしてしまいました。事前に伝えてはいたけれど、まだ言葉もイラストの意味も理解できない頃のこもたろ。なんとか抱えてホームの階段を下り、
比較的人がいない所でパニックがおさまるのを待ちました。
その様子を近くて見ていた警備員さん。小さな子供は尋常じゃない泣き叫び方。すごい形相でそれを抱えて階段を足早に下りてきた大人。何かトラブルだと思ったのでしょうね。「何をしているのですか」と声を掛けられました。事情を説明し、その場でこもたろが落ち着くのを待ちました。
こもたろが落ち着くのを待っている間、行き交う人が見ていきます。騒ぎを起こして他の方へ迷惑をかけているとの申し訳ない気持ち。できることなら子供たちを連れてこの場からすぐに立ち去りたい。でもこもたろは暴れるので、3歳児を抱えて歩くにも限度があります。それにこの状況で広い東京駅を抱えて歩き続けることは彼には苦しみでしかない。
あとちょっとしたら、気持ちを切り替えられる。そうしたら、駐車場まで歩いて行ける。
そんなとき、初老の女性に話しかけられました。
それは、泣き叫ぶこもたろにではなく、私に。(こういう場合、泣き叫んでいるこもたろの方に声をかけられることが多いのですが)
女性「お子さん、大丈夫?」
私「騒がしくてすみません。この子、自閉症で今ちょっとパニックをおこしてしまって・・・」
女性「うんうん。そうじゃないかと思ったの。私の知り合いのお孫さんにもね、いるのよ。」
女性「お姉ちゃんは何歳?」
こもろ姉ちゃん「5さいです」
女性「お姉ちゃんはいつも頑張っているわね。お婆ちゃんは分かってるよ。はい、これあげる。」
こもろ姉ちゃん「わぁ!ありがとう!」
女性は娘におせんべいやチョコレートなどのお菓子をくださいました。
女性「お母さん、いつも大変ね。だけどね、こうやって分かってる人もいるから。応援してるわよ。頑張って。」
「息子ちゃんには話しかけないで行くわね。」
そう言って、女性は立ち去っていきました。
あの時あの状況で、この女性の思いやりに私たちはどんなに救われたことか。娘は今でもあの時のことを覚えています。「また会えたら、ちゃんとお礼が言いたい」と。私も同じ気持ちです。
あの時のかた、本当にありがとうございました。
~続く。
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