某駅にて、ある親子を見かけて。-『息子は自閉症。ママのイラスト日記』(30)

私の前に、乗車券を買っている親子と思われる二人がいました。男性がひとりで乗車券を購入すると、女性がとてもとても喜んでいました。「上手にできたね!すごいすごい!」

先日、ある駅で、乗り換えの乗車券を買うため券売機に並びました。

私の前に、乗車券を買っている親子と思われる二人がいました。

親子と思われる、と書いたのは、小さな子と大人という組み合わせではなく、

あどけなさは残りますが、恐らく成人しているであろう男性と、少しお年を召した感じの女性だったからです。

男性がひとりで乗車券を購入すると、女性がとてもとても喜んでいました。

「上手にできたね!すごいすごい!」

男性の頭を撫でて褒めています。

この時、私は直感的に「この男性は、こもたろと同じような障害を持っているのかな」と思いました。

きっと、何度も何度もこの駅に通って練習したんだろうな。

うまくいかない日も諦めずに、何度も何度も。

勝手にこもたろのことと重ねてしまいました。

そう思うと、なんだか私まで嬉しくなってしまいました。

声をかけたい。

でも、見ず知らずの私が声をかけると、ビックリさせてしまうかな。

うーん、どうしよう。

いろいろ迷いましたが、思い切って言うことにしました。

私は女性の方に「嬉しいですね」と声をかけました。

女性はビックリした様子もなく、満面の笑みで「ありがとうございます」と返してくれました。

私はすぐにその場を立ち去ったのですが、声をかけてみてよかったなぁ。

ほっこりした気持ちをおすそ分けしてもらったような、そんな気持ち。

こもたろは、まだまだ自分の身の回りのことを、完全に自立できているとは言えません。

誰かが指示を出せばそれに従って行動することはできますが、自分の力で必要なことを考えて行動することが難しいのです。

大人になった時、どこまで成長しているかはわかりませんが、現段階では、親がいないと生活は難しいだろうなということは感じています。

こもたろが大人になっても、あの親子のようなほっこりして温かい関係を保っていたいな。

そう思った出来事でした。

★コミックエッセイ「自閉症くんは1年生」絶賛発売中!!

3刷出来!!

コミックエッセイ「生まれたのは自閉症くん。」大量描き下ろしにコラムも収録で絶賛発売中!!

注目記事