薄々気づいているが認めたくない「あなたのプレゼンがいつまでたってもヘタな理由」

「どうすればプレゼンがうまくなるのか?」「もっとプレゼンスキルを伸ばしたい」人前で話す機会のある社会人なら、一度は考えたことがあるはずです。プレゼンスキルの磨き方について本を読んで考えていたのですが、「プレゼンがいつまでたってもヘタなままの人がいる理由」と「確実にプレゼンがうまくなる、とっておきの方法」を発見した中山です。今回はこのプレゼンスキルを伸ばす方法についてご紹介します。

「どうすればプレゼンがうまくなるのか?」

「もっとプレゼンスキルを伸ばしたい」

人前で話す機会のある社会人なら、一度は考えたことがあるはずです。

プレゼンスキルの磨き方について本を読んで考えていたのですが、「プレゼンがいつまでたってもヘタなままの人がいる理由」と「確実にプレゼンがうまくなる、とっておきの方法」を発見した中山です。

今回はこのプレゼンスキルを伸ばす方法についてご紹介します。

ビジネスパーソンの2人に1人が伸ばしたいスキル

「日本人はプレゼンが下手」とは、よく耳にする言葉です。

株式会社オールアバウトとNTTレゾナント株式会社が、25 歳から39 歳の会社員に実施した2008年の調査によれば、今後高めたいビジネススキルとして、「交渉力・説得力」(50.1%)と「プレゼンスキル・表現力」(48.2%)がトップ2でした。

ヒトコトにまとめると、「ビジネスパーソンの9割近くが自分のプレゼンスキルに自信がなく、2人に1人が伸ばしたい」と願っているわけです。個人的な印象ですが、この数字はまずまず現状を反映している気がします。

日本人は熱心に勉強する、しかし驚くほど◯◯しない

「日本人は勉強熱心である」、これもよく聞くフレーズです。

一般論として、日本人は書籍で知識を仕入れたり、セミナーや勉強会で研鑽に励んだりと、マジメな人が多い。

プレゼンスキルに関しても同様です。

その反面、熱心に勉強はしても、プレゼンに関しては「あること」をしない人が圧倒的に多いのです。

それは「練習(リハーサル)」です。

練習の重要性については、こんな言葉があります。

練習でできないことは、試合でできない。 また、練習でできるようになっても、試合でできないこともある。 そして試合でできるようになったら、その質を高めていくことだ。(落合博満監督)

スポーツ経験がない人でも、この言葉の意味はよくわかると思います。

にも関わらず、練習がなおざりにされてしまうのはなぜか?

練習から逃げるワケ

ちなみに「脳内シミュレーション」は練習にカウントしません。

イメージトレーニングしかしてしないバッターが試合で打てるわけがないのと同様、声を出さないプレゼンターが満足のいく発表をできるわけがないのです。

ここで言う練習とは、実際に声を出しておこなう「リハーサル」を指します

スポーツを例にあげるまでもなく、どんなことであれ、練習せずして上達することはありません。そんなことは、賢明なビジネスパーソンは百も承知のはず。

じゃあ、なぜ練習から逃げるのか?

理由は簡単で、カッコ悪いからです。

鏡の前で四苦八苦する自分自身を直視するのが耐えられない。

いい年した大人が言葉に詰まったり、文章を噛んだり、アーとかエーとか連発する無様な姿を(人に見られていないとは言え)晒すことに抵抗がある。

練習しないのは、要はそういうことです。

だから、「知識だけで、なんとかプレゼンが上手くなれないか」と本を読みあさるわけです。

あと、ひねくれた見方をすると、大イベントで講演するような社会的地位が高く、部下を大勢抱え、立派な肩書を持つ方々の中には、無意識レベルで、「俺(様クラスの人間)が、(自分よりランクの低い)聴衆のために、(わざわざ時間を費やして)練習するまでもなかろう」的な考えがほんのちょっぴりあるような気がしています。

で、その結果、いつまでたっても苦手意識が抜けない。

練習の4要素

ここで、ひとつ疑問が浮かびます。

では、どんな条件が整えば、プレゼンの練習をする気になるのか?

練習をいくつかの要素に分解してみると、「道具」「時間」「意欲」「場所」の4要素に分かれます。この中の、どれが練習実践のネックになるか、検証してみましょう。

<道具>

やろうと思えば、手ぶらでもできる。PCやメモなしでも十分可能。なので、これはネックではない。

<時間>

せいぜい15〜20分くらいの時間は、どんなに忙しい人でも確保できるはず。よってこれもネックにならない。

<意欲>

少なくとも「上達したい」という意志はあるわけなので、これもネックとは考えにくい。

となると、残るは「場所」です。

そう、場所こそが練習を阻む最大のネックなのです。

練習に適した「場所」がないから、実践しないのです。

誰もが「練習せよ」と声高に言う、しかし「どこで」に言及する人はいない

プレゼン本の著者らは、口をそろえてこう言います。「うまくなりたければ、練習しなさい」と。 一分の隙もない正論です。しかし、具体的にどこで練習すればよいかに触れる人にお目にかかったことはありません。 (少なくとも、これまで私が見聞きしてきた範囲では)

著者からすれば、「練習場所くらい、自分で考えて見つけろ」ってことなんでしょうが、プレゼンの練習に適した場所って、じつは意外と少ないのです。

練習場所の3条件

プレゼンの練習に必要な条件は3つあって、

アクセス(簡単に行ける)

プライバシー(ひとりきりになれる)

ノイズ(ある程度の防音・遮音性)

がすべて満たされないと、心置きなく練習に集中できません。

自宅といっても、既婚者だったり子供がいると集中できない。

かといってオフィスの会議室でやるのも気が引ける。

公共の場ではとてもじゃないができない。

カラオケボックスなら集中できけれど、行くまでが面倒だし、お金もかかる。

空き地や河原でやるのは現実的じゃないし、下手すると通報されかねない。

このように練習場所が見つからないがために、「脳内シミュレーションでいいや......」となってしまい、いつまでたっても下手なまま。

しかし、見つけたのです。プレゼンの練習にピッタリな場所を。

盲点だった、最高のプレゼン練習場所

週末ずっと考えて、ついに最高の場所を見つけました。

日常生活に密着した場所で、一人になれ、かつ声を出しても誰の迷惑にもならない場所、それは「シャワー」です。

シャワーを浴びながら、プレゼン練習をするのです。

ホラ、3つの練習条件をキレイに満たすでしょう?

PCやメモを持ち込めないので、必然的にパワポに頼らない練習ができます。

ながら式なので、時間が無駄になりません。

しかも、浴室内だと音が響いてエエ声に聞こえます。

いい事ずくめじゃないですか。

実践している人は少ないっぽい

ただですね、シャワーを思いついた瞬間は「ついに発見したぞ!」とガッツポーズしたのですが、すぐに「待てよ、シャワーを浴びながらのプレゼン練習なんて、だれでも思いつくだろ」と思い直しました。

検索したら、実践者の声が山ほどHITするだろうと思いつつ、念のために調べてみると。。。

なんと、びっくりするほど見つかりません。

検索に検索を重ねて、ようやくいくつかの(実践者の)ブログ記事が見つかりましたが、その少なさに驚きました。どうやらシャワーを浴びながらプレゼンの練習する人は、かなり少数派らしいです。

ただ、プレゼン練習をする人はあまり見つからなかった代わりに、歌と英語の発声練習をする人の記事はたくさんありました。少なくとも、声を出す練習にシャワーが適しているのは、間違いないようです。

じっさいに1週間練習してみた

白状しますと、私はこれまでは脳内シミュレーション派でした。 つまり、「練習ではなく、知識でなんとかしようとする人間」だったのです。

ついでにもうひとつ白状しますと、私は話す内容を忘れてしまうことを心配するあまり、スライドに文字を詰め込むクセがありました。

「アレも言わなきゃ、コレにも触れなくちゃ、でも忘れてしまったら大変だ、ええいパワポに書き込んでしまえ」となっていたのです。

そんな私が、シャワーで1週間練習してみました。

毎日1回×7日間=計7回、毎日実践した結果、なんとスライド20枚のパワポを一切見ずに話し切ることができるようになりました。

3回目までは何度も噛んだり、スライドをすっ飛ばしてしまったりと我ながらグダグダでしたが、4〜5回目あたりからごく自然にひとつの物語を語るかのようにやりきることができたのです。

練習が足りないまま本番を迎えると、話している途中で、「あれ?次のページってなんだったっけ?」となって、ページを遷移した瞬間に「あ、そうそうこのページだった、えーっと(ここではなにを言うんだったっけ)......」と無駄な間が空くことがありますよね?

でも、練習を重ねた今回は"ひとつのストーリーとして"脳に焼き付けられたので、パワポに頼らずに済みました。

「アドリブでやれる自信」があるとないとでは、大きな差がありますよ。

こんなに短時間で劇的に変われるとは、正直びっくりです。

腹のたるんだオッサンが、シャンプーしながら素っ裸でベラベラしゃべる姿は想像するだけで甚だしくキモいですが、なーに、誰に見られるわけでもないので気になりません。

唯一のマイナス点は、妻に「シャワーなげーよ!」と一度だけ叱られてしまったことくらい。

ですから声を大にして言います。

シャワーを浴びながらのプレゼン練習は、大きな効果がある!」と。

(2012年11月8日「six apart ブログ」より転載)