こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
注目されていた舛添知事の記者会見、私もつぶさに見届けさせていただきました。(ネット中継で)
一部の私的流用の事実を認め「訂正し、返金する」としつつも、それでも家族とともに宿泊したホテルは「会議を行い、政治活動だった」と強弁。
自らの責任については積極的に言及せず事務方に責任転嫁するなど、残念ながらその内容は見るに耐えないものでした。
政治資金に関しては本人の釈明を待ち、辞任を避ける起死回生の策なども提示してきた私ですが、こちらを見て個人的な見解は固まりました。
舛添知事はすみやかに辞職し、参院同日選で都民に信を問うべきです。
「多少の問題があっても、続投させた方が合理的だ」
「選挙となればまた、多額の税金がかかる」
「後任がいない」
など様々なご意見はあるかと思いますが、以下に私がそのように判断した理由を述べていきたいと思います。
1.ミスではなく明白な政治資金横領の意図があり、悪質である
政治資金の不正使用疑惑が発覚した際、単純な「ミス」であったとして訂正・返金で乗り切るのは政治家の常套手段ともいえますが、舛添知事のケースは故意である可能性が極めて高いです。
私も自分の事務所を持つ政治家の端くれですが、このような私的流用は本人の意思がない限り発生しないと断言できます。
奇しくも舛添知事自身が厚生労働大臣時代に年金問題で、
「横領したような連中は、きちんと牢屋に入ってもらう」
と発言しているように、盗んだものを返したからと言って許されるようなことがあっては、筋がまったく通りません。
そして何より、これらの一連の事実は舛添知事が
「自分の懐が傷まないのであれば、税金であれば湯水のように使って良い」
という意識を持っていることを明らかにしました。
多額の海外視察費用も、公用車の濫用疑惑もこうした彼の資質が表層に出たものに過ぎなかったわけです。
財政規模が13兆円ともなる東京都政から見れば、どれも金額はごく少額かもしれないかもしれませんが、こうした方が都民の財産を適正に運用できるとは到底思えません。
2.更なる疑惑が噴出する度に、都政が停滞する恐れがある
こうした姿勢で長年政治家を勤めてきたわけですから、過去に遡って政治資金を「精査」すれば、更なる疑惑が出てくることは必須です。
よしんば今回の疑惑をこれで乗り切ったとしても、新たな問題が出てくる度に釈明→追及→鎮火を繰り返すようでは、その度に都政が停滞することになりかねません。
ただでさえ問題が山積する東京オリンピック・パラリンピックを迎える東京都で、知事の求心力低下はその運営に致命的なダメージを招きかねないと言えます。
政治家にとって求心力とは権力・実行力の源泉であり、これを失ったリーダーではこれからの都政の舵取りをすることはできません。
3.参院選と同日に選挙をすれば、費用も大幅に抑えられる
そして多くの人が懸念をしているのが、選挙費用だと思います。
都知事選挙にかかる費用は約50億円と言われており、仮にまた都知事選挙となれば、任期をまっとうしない知事が続いたここ数年の費用は莫大なものになります。
しかしながら7月には、参院選が予定されています。選挙費用の多くは投開票に関わる人件費や会場費ですから、参院選と同時に行うことでこの費用は大幅に削減することができます。
5月末から始まる第二定例会で残務処理をして辞任を表明し、都議会で承認されれば、7月の参院選で速やかに都知事選を行うことは可能です。
舛添知事に続投の意欲があるのであればそこで再出馬し、再選すれば文句なく求心力を取り戻すことができるでしょう。失った信頼を取り戻すには、それくらいのケジメのつけ方が必要ではないでしょうか。
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私とて都知事が頻繁に変わることを、必ずしも良しとしたくありません。
だからこそ舛添知事が辞任を回避できる方策の提言なども行ってきましたが、残念ながらこの説明内容では都民を納得させることは到底不可能です。
「いたずらに都政を混乱させるべきではない」
などと言ってこの問題を看過すれば、中長期的には大きなツケを都民が払わされることになります。
二代続けて金銭スキャンダルで都知事が失脚したとなれば、政界の人材不足が懸念されるのは当然かもしれません。
ですが、都政を憂う有為な人材は必ず在野に存在し、立ち上がるはずです。さあて…。
次回の定例会では舛添知事には速やかに進退を明らかにするよう、都議会の一員として強く舛添都知事に求めていきたいと思います。
すでに同僚都議の一人は、辞任を求める申入れ書を提出したようです。現実問題として都議会の対応の鍵を握るのは、ほぼ三分の二の議席を占める自民・公明両党であることは事実ですが、彼らとて世論を無視することはできません。
引き続き都民の皆様からも、率直なご意見を都政に届けていただければ幸いです。
それでは、また明日。
(2016年5月13日「おときた駿 オフィシャルブログ」より転載)