こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
台風の影響で一部の開票が本日までずれ込みましたが、夕方にすべての議席が確定いたしました。
衆院の新勢力 全465議席が確定
自民284
立憲55
希望50
公明29
共産12
維新11
社民2
こころ0
諸派0
無所属22
一時は150議席を超え、政権交代も視野と言われた小池知事が率いる「希望の党」は、現有議席(54議席)を割り込み、野党第一党も立憲民主党に奪われるという「完敗」に終わりました。
この結果と国政の今後の展望については、すでに多くの専門家や有識者が分析を述べています。
ですが私は都議会議員ですので、この結果が「今後の都政にどのような影響を及ぼすか?」について、個人的な見解を書いておきたいと思います。
小池知事の求心力は明確に激減し、「改革」はスピードダウン
政治家の力の源、「求心力」あるいは「政治力」の源泉は、選挙の強さにあることは否定できない事実です。
そして言葉や数値にできるパロメーターではありませんが、この「求心力」のある政治家の政策は、世論の後押しという強力な推進力が働いて実現しやすくなります。
これまで小池知事は、その高い支持率と選挙の強さを背景に強力な「求心力・政治力」を発揮し、ややもすると強引とも取れる手法で「改革」を前に進めてきました。
例えば小池知事の手法の一つに、まず記者会見やメディアリーク、あるいは議会発言などで突然政策や方針をアナウンスをし、そこから調整に入るというものがあります(オリパラの自治体費用負担、入札制度改革などの手法)。
一切の「根回し」をせずに行われるこの手法に対して批判の声はあれど、小池知事はその政治力で前に推し進め、ここまで都政運営を切り回してきました。
ところが、今回の選挙による敗北で、小池知事はこの「政治力」の大半を失います。
支持率でも「不支持」が「支持」を上回り、明確に世論が知事から離れていることもそれに拍車をかけることになります。
今後の都政運営においては、これまでと同様の手法を取ることは難しく、時間をかけても丁寧な「調整」をすることが必要になってくるでしょう。
「都議会与党」の維持に苦心
その具体的な「調整」の最たるものとして、議会運営があります。
都議選後の都議会は都民ファーストの会・都議会公明党の連立で3分の2を占め、事実上、すべての知事提出議案や政策は通る条件が揃っていました。
ところが総選挙前から、都議会公明党は知事が国政進出することに明確な「不快感」を示し、そのしこりは今後に大きな影響を残します。
簡単に言えば、これまでは連立与党として「基本的には賛成」というスタンスでいたものが、「条件付き賛成」が前提として様々な交渉がスタートすることになるでしょう。
条例案や、あるいはもっとも重要な次年度の予算案においても、都議会公明党への大幅な譲歩や交渉が必要になる可能性があります。
さらに足元の、都民ファーストの会東京都議団も盤石とは言えません。
一般論として、選挙で手酷く敗北した政党組織は大きく揺らぎます。執行部や運営体制の見直しなど、組織の立て直しが適切に行えるかどうかが、今後の展開を大きく左右することになるでしょう。
そして何より、今回の選挙で地域政党「都民ファーストの会」は、あまりにも国政政党「希望の党」と一体化をし過ぎました。
多くの識者が予想するように、今後「希望の党」が分裂するようなことになると、都民ファーストの会もその影響を受けざるを得ません。
希望の党と都民ファーストの会を、国政と都政を、どのように切り分けていくのか?
この総括次第では、都議会の構成も大きく変わっていくことになるでしょう。
当面は「二足のわらじ」を継続するも、将来的には...?
希望の党代表としての出処進退が注目されている小池知事ですが、都民ファーストの会も都議選翌日に辞任したという経歴から、「投げ出し」批判を避けるために当面は代表を続けるのではないかと考えられます。
しかしながら、現在の都政において知事と国政に「二足のわらじ」を履き続けることは、現実的に不可能です。
すでにこの影響は築地移転問題などに及んでおり、二足のわらじ状態を長期的に継続していくことは難しく、世論の批判も高まっていくことが予想されます。
そこで、希望の党の人事体制が固まり、来年の通常国会が開会される前後あたりを一定の目処に、小池知事は国政政党の代表は辞任されるのではないでしょうか。
今回の選挙結果は、とりわけ都民が小池知事の「二足のわらじ」に対して明確にNoを突きつけたものであり、都知事に専念される方が望ましいことは言うまでもありません。
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繰り返しになりますが、以上は私の個人的な見解です。しかしながら、今後の都政運営が極めて難しいものになることは疑いありません。
なお小池知事は、選挙の総括としてある対談の中で、「鉄の天井があった」と発言し、あたかも女性の社会進出や環境に問題があったことも示唆しているようです。
衆院選の敗北、「鉄の天井」があった...小池氏
今回の選挙結果は、単に小池知事の政治判断に対する審判であり、知事が国政進出をするタイミングにも、またその手法にも原因があったことに他なりません。
それをあたかも、女性をとりまく社会環境のせいであるとも取れる発言をすることは、逆に女性の社会進出を妨げることになりかねない、不適切なものである言わざるを得ないでしょう。
小池知事には、都民が出したこの結果を真摯に受け止め、都知事選で掲げた「東京大改革」の信念に戻って都政に専念していただくことを心より期待したいと思います。
厳しい状況にはなりますが、情報公開や行財政改革など、正しい政策実現に向かって歩まれる限り、私もその動きをいち都議会議員としてしっかりと後押ししていく次第です。
もちろん、間違った方向に行かれそうなときには、苦言や改善を提案しながら。
無所属の都議会議員として、皆さまにお約束をした政策実現に向けて、是々非々の姿勢でしっかりと臨んでまいります。
それでは、また明日。
(2017年10月23日「東京都議会議員 おときた駿 公式サイト」より転載)