「築地に市場つくらない」小池知事発言の矛盾と疑問

場当たり的な対応を行ってきたツケが一気に噴出してきています。
Toru Hanai / Reuters

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

本日は午前中に知事が築地市場の視察を行い、業界関係者と意見交換を行いました。

過日の豊洲市場訪問に加えて、矢継ぎ早に両市場にこのタイミングで知事が足を運んだのは、まもなく始まる都議会定例会を乗り切るためでしょう。

昨年末の定例会で「私自身も汗をかく」と答弁している手前、自ら何も行動しないで次の議会を迎えてしまえば、厳しい質問に晒されることは明らかだからです。

まあ、知事を含む執行機関をチェックし、プレッシャーを掛けることも議会の重要な役割の1つですし、どんな理由やタイミングにせよ知事自ら両市場を訪れたのは望ましいことではあります。

しかしながら、ここで今日も小池知事は物議をかもしだす発言をしてしまいました。

小池知事「築地に市場作らない」

会談に出席した市場団体代表者によると、小池知事は「築地に市場をつくる考えはない」ということをはっきりと、短い会談中に複数回(2回)発言したようです。

市場を担っていく当事者たちにとって、極めて重大で見過ごせない発言です。会談終了後の記者会見に応じた至上団体関係者の方は、この事実を強調されています。

これを受けて都幹部は、

小池知事の発言について、東京都の幹部は、「中央卸売市場は豊洲だけという考えを示したに過ぎない。築地の市場としての機能そのものをなくすという意味ではない」として、基本方針とは矛盾しないと説明しています。

(上記ニュース記事より抜粋、強調筆者)

と火消しに走り、都民ファーストの会議員も同様の発言を行っています。

仮にこうした考えで発言したとしても、小池知事の発言には重大な疑念と矛盾が生じます。

中央卸売市場が2つ以上作れないことは制度上もすでに自明なことであり、わざわざここで業界代表者たちが沸き立つようなことを発言したのには、政治的な狙いがあると考えざるをえません。

つまりそれは、基本方針に対する業界からの厳しい指摘の数々を受けて、なんとか目の前の移転にスムーズに協力してもらうために、敢えて期待をもたせるようなリップサービスを行ったということになります。

都幹部や都ファ都議が言うように「市場機能を残さないというわけではない」ならば、やはりこれはだまし討ちと言われても致し方ない表現ではないでしょうか。

そしてまた、精一杯好意的に解釈して

「都が主導して市場は作らない=民間が中心となって市場を作る」

のだとしたら、現在行なわれている築地再開発検討委員会に市場・水産・青果関係者が一切含まれていないこととは明らかに矛盾します。

いずれにせよ、市場移転問題については場当たり的な対応を行ってきたツケが一気に噴出してきています。

豊洲市場移転問題についての総括 -政治的判断の過ちと今後について-

移転問題について、改めて謝罪。知事にも方針撤回を求めるも、想いは届かず...

混乱を招いてきた責任は、かつて都民ファーストの会としてその決断を容認してきた私自身にもあります。

改めて、申し訳ないと言う他ありません。

小手先の言葉遊びで問題を先送りにするのではなく、基本方針の過ちを認め、築地に市場機能を残すもとより無理な施策は、はっきりと謝罪の上で撤回されるべきです。

まもなく始まる都議会定例会では、今回の発言の真意も含めまして、しっかりと議論をして参りたいと思います。

それでは、また明日。

(2018年2月17日おときた駿ブログより転載)

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