私たち民進党は、5月25日(水)、衆議院事務総長に「消費税率の引上げの延期及び給付付き税額控除の導入等に関する法律案」を提出しました。
2014年に安倍内閣は消費税の10%引上げを1年半延期し、そのことを理由に衆議院解散総選挙を実施。その際、必ず消費税引上げを可能にするよう政策運営を行うことを約束し、景気弾力条項を付けることはしませんでした。その後、実質賃金マイナスが続き、個人消費が冷え込んでいます。これはアベノミクスによる円安で、家計から大企業に所得移転が起きたからです。10%への引上げができる経済状況をアベノミクスによって実現するという安倍政権の公約が失敗したことは明らかです。
安倍総理は、伊勢志摩サミットの場で、リーマンショック前と同じような世界経済のリスクがあるとの理由で、財政出動を約束しました。アベノミクスの失敗を覆い隠し、世界経済のリスクのせいにするつもりです。いくら何でも、それは言い過ぎでしょう。原油価格も50ドル近くまで戻し、アメリカの中央銀行FRBは利上げを検討しているくらいですから、リーマンショック並みという状況ではありません。
私たちは、安倍内閣の責任を追及するためにも、消費税引上げを再延期する法案を提出しました。これは、参議院選挙をにらんだ布石でもあります。元々、私たちは百害あって一利なしの軽減税率を前提にした消費税には反対でした。ここは譲れません。したがって、法案の中では、低所得者に食料品の消費税分の還付を行うことを提案しています。
しかし、私は、個人的には次のような政策がベストではないかと考えています。
まず、予定通り来年4月に消費税を10%に引上げます。従来は、このうち1%分は低年金対策や子育て支援に使い、残りの1%分は赤字国債を減らすために使う予定でした。そもそも、前回5%から8%に上げた時の3%分は社会保障のための赤字国債を減らすために使われました。つまり、引上げの5%の内、国民には直接の見返りが1%分しかなかったのです。
次世代への借金を減らすことは重要なことですが、今の国民に増税を納得してもらうためには、目に見えたメリットを提供する必要があります。そうすれば、さらに消費税を引上げる時に、国民が賛成しやすくなるはずです。
前にもハフィントンポストの記事で提案しましたが、世帯の所得にかかわらず、すべての子どもの教育と医療を無料で現物給付することが豊かで活力のある社会をつくるために必要です。1%2.7兆円の財源で、国公立大学の授業料無償化(約4000億円)と私立大学学生には一定の給付型奨学金(たとえば約6000億円)、そして残りの財源の範囲(約1.7兆円)で子どもの医療費無料化を行ってはどうでしょうか。
プライマリーバランスの黒字化目標は数年遅らせることになりますが、財政再建は目的ではありません。国民の幸せな生活が目標であるべきです。何より、株価が1万6千円台で、完全雇用に近い失業率3.2%でも消費税が引上げられないのなら、何時になっても引上げなどできません。安倍内閣は、さらに補正予算を組んで借金による公共事業をバラマクつもりです。そんなことをしても、経済の力は強くなりません。
消費税を上げるけれども、その財源すべてを使って子どもに投資すれば、子ども達の能力が花開き、結果として経済は成長します。少し時間はかかりますが、アベノミクスという魔法の呪文を唱えるよりも地道な政策を続けていくことを提案します。