今のNHKの朝の連続テレビドラマ『マッサン』を観てて、ちょっと疑問に思ったことがあります。
エリーというスコットランド人女性に対して、関西の普通の人たちが、エリーが何人が確かめないで「How do you do?」って話しかけるんです。あれ、1920年当時から日本人って西洋人に対しては英語で話しかけてたんだってちょっとびっくりしました。
1920年当時、日本にいた西洋人はイギリス人やアメリカ人以外にも、ドイツ人やフランス人やロシア人がたくさんいたと思うんです。で、その人たちに英語で話しかけると、結構今とは違って「え、どうしてロシア人の私に英語で話しかけてくるの?」って印象を持ったと思うんです。アメリカを日本人が旅行してて、アメリカ人に「ニイハオ」って声をかけられるような感覚です。
まあ、テレビドラマだから、そんな突っ込みは不要とは知っているのですが。
僕は昔、東京のブラジル・レストランで働いてたことがあります。そのお店は、「いかにも外国」っていう雰囲気を演出するために、ウエイターやウエイトレスのサービスの人間の多くは「西洋人顔」のブラジル人だったんです。
すると、日本人のお客さまは、その西洋人顔のブラジル人に英語で話しかけるんです。でも、普通のブラジル人って英語が全くわからないってことがよくあるから、「エイゴ、ワカラナイ、ニホンゴデドウゾ」って返すことがよくあったんです。
そして、仕事が終わって、そのブラジル人スタッフたちに「ねえ、どうして日本人は私たちに英語で話しかけるの?」って質問されるわけです。その「日本人が相手が外国人だと思ったら英語で話しかける理由」を説明する作業が結構、切ないんですよね。
そんな経験もあって、朝のドラマを観てて、「あれ、1920年からそうだったの?」って思ったわけです。
もちろん、今は英語がほぼ国際標準語と考えてもいいと思いますが、「西洋人」だと見ると、英語で話しかけるという日本人の習慣はちょっと恥ずかしいのではと、思いました。
bar bossa 林伸次
著書「バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?」http://goo.gl/rz791t